【読者を虜にする圧倒的画力!】楳図かずお『わたしは真悟(1)』レビュー
去年『うずまき』というマンガを読んでから「ホラーマンガ」というジャンルが一気に気になりだしました。(『うずまき』についての記事はこちら)
そして、今回手に取ったのが楳図かずおさんの『わたしは真悟(1)』です。
本作はなんと、2018年度に、世界有数のコミックイベントであるフランスのアングレーム国際漫画祭にて「遺産賞」を受賞した作品。
「遺産賞」は、時代を超えて残すべき作品に与えられるもので、日本人では3人目という快挙です。(一人目は水木しげるさん、二人目は上村一夫さん)
今回は、本書から学んだ3つの視点をご紹介します。
1. 得体の知れなさ
「奇跡は誰にでも一度おきる だが おきたことには誰も気づかない」という言葉ではじまる本作。
第一巻では、主人公の少年サトルと少女マリン、そしてロボットのモンローの出会いが描かれています。
サトルは、自分が興味があることに猪突猛進するタイプの男の子。
よく言うと好奇心が強いのですが、悪く言うとまわりの空気を読めない子といえます。
そんなサトルと、周囲の友人・大人たちの言動、行動は、基本的にかみあうことがありません。
サトルがうみだす不協和音は、何か得体の知れない、不吉な展開を予感させており、続きが気になります!
2. ボーイミーツガール
サトルは、社会見学で工場のロボットを見に行く機会があり、そこで別の小学校から見学に来ていたマリンと出会います。
二人は見つめ合い、お互いに強く印象づけられるのですが、その場ではお互いの名前を言い合うだけ。
後日、サトルはマリンが気になり、必死にマリンを探します。
サトルがロボットのいる工場になんとなくやってくると、そこにはマリンがいて二人は再会。
彼らのデートは、誰もいない工場でのロボット遊びというなんともユニークなもの。
そんな二人の関係に、サトルのことを好きな近所の年下の子・シズカが嫉妬するなど、サブストーリーも用意されています。
しかし、マリンは親の都合でイギリスへ行くことに...
町工場に勤める作業員の息子・サトルと、外交官の娘・マリンの身分を超えた恋は一体どうなるのか、次の展開が気になります!
3. 扉絵の迫力
本作の魅力の一つは、扉絵における緻密でイマジネーションあふれる絵。
とにかく、以下を見てください。
扉絵だけではなく、見開きの絵の迫力もすばらしく、機械の内部に張り巡らされた配線を描いた絵では、まるで生物の血管や神経のように表現されています。(写真にとると魅力が半減しますので、ぜひ本書で堪能してください!)
これら精密な絵がすべて楳図さんの手描きというから驚きです。
まとめ
楳図かずおさんの最高傑作というと「漂流教室」の名前があがります。
しかし、熱心なファンの間では「わたしは真悟」を支持する声も数多く見られます。
緻密な絵と奥深いストーリーが融合した『わたしは真悟(1)』。まだ一巻しか読んでないですが、傑作の予感...
つづきが気になります!
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