資本主義と格差を考える!あなたのためのピケティ入門
ベストセラーである『21世紀の資本』を入手したのですが、残念ながら早々に挫折。
700pの大書でありながら、1ページ目から眠たくなってしまいました。
このままでは悔しい!と思い、入門本を探すことに。
そこで出会ったのが『日本人のためのピケティ入門』となります。
内容も短く、読みやすい文章で、なおかつ図もついているので、スイスイ読むことができました。
『21世紀の資本』に興味のある人や、ぼくと同じように挫折した人にオススメです。
『21世紀の資本』の特徴は、「資本主義は格差が拡大する」ということを、過去のマクロ経済をひも解いて推計、分析しているところ。
いままでは、資本主義が発展すると、富が多くの人に行き渡り、所得分配は平等化すると考えられてきたので、ピケティの論は一種のパラダイムシフトでした。
また、格差の拡大を「r > g」という公式で表したことが第一の功績です。
具体的には、「資本収益率(r)>国民所得の成長率(g)」となり、「資本収益率が、国民の所得の成長率を上回る」ということを示しています。
これは「海外生産」を考えると、理解しやすいです。
たとえば、日本の企業がアジアに工場をつくって生産を増やした場合、増産分の利益は資本家に配当として入りますが、労働者に還元されることはありません。
また、地価の上昇といったものも、すべて資本家のものとなります。
ゆえに資本主義では、過去200年のあいだに格差が拡大し、今後も拡大します。
ではどうしたらよいのかというと、ピケティは「グローバルな資本課税」が必要であると主張。
それは、高額所億者たちが、資産を海外のタックス・ヘブンに移すことに対処するためです。
税制といった国家レベルの対策はわかりますが、格差の拡大に対して、個人ではどうしたらよいのでしょうか。
ここからはぼくの意見ですが、「資本家になる」ことは難易度がぐっとあがります。
それではどうしたらよいかというと、労働者として、高い賃金を得るための「教育への自己投資」が大切。
たとえば、高い技術をもったエンジニアの供給は少ないので、彼・彼女らの賃金は上昇します。
そして、高い技術をもったエンジニアの供給は「教育」に依存し、需要に関しては「テクノロジー」に依存。
このように賃金は「教育とテクノロジー」で決まるため、長期的にみると、自己投資が賃金格差を減らすのに役立ちます。
本書は『21世紀の資本』について分かりやすく解説してあり、入門として最適でした。
資本主義や格差について考えるきっかけになりました。