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締め切りを逃す人必見!先延ばしを克服する方法:『締め切りを作れ。』レビュー

昨日にひきつづき、締切についての本をご紹介。

独学にはかかせない「締切」の美学を学ぶことができる。

語学や、資格、新しいことを独学で学んでいる人や、仕事を片付けることに苦労している人に参考になるはず。

「締切」のプラスとマイナスの二面性

本書ではまず、「締切」の二面性について驚かされる。

まずは、「締切」は「集中力を上げる」効果があることだ。

ヘブライ大学の研究によると、「何かを実行する時間が限られていると、無駄が減り、集中力が高まり、生産性や独創性が高まる」ということが分かっている。

しかし反面、「締切」には「ぎりぎりまで仕事を先送りにする」ことにもつながる。

この現象は「デッドライン効果」と呼ばれている。

このように、締切の設定によって、プラスに転ぶこともあればマイナスに転じることもある。

ひとことに「締切」といっても、なかなか奥が深いことに気づかされる。

そして、本書の特徴は、「締切」を利用して、実際に偉業をなしとげた組織を紹介している点だ。

一般的な「締切」や時間術の本は抽象的な話がおおく、具体的な事例について欠ける傾向にある。

それにより、実践のイメージがつきにくいという欠点がある。

しかし本書は、組織での豊富な例を紹介しながら、行動科学や心理学、経済学の専門家の知見を添えて解説しているので別格といえる。

「締切」の語源

本書では、人々がタスクを完了するために最後の瞬間まで先延ばしにする理由について探求。

この行動に寄与する心理的、社会的、文化的要因を検討し、それを克服するための戦略を提供している。

著者は、まず締切をあらわす「deadline」という単語の起源について説明。

もともとは南北戦争中に、拘置場付近に設定された限界線のこと。

囚人が越えてはならないラインを指す言葉であり、そのラインを超えてしまえば、撃たれることになっていた。

この歴史的な文脈が、人が「締切」によって感じるプレッシャーの根源といえる。

20世紀初頭になると、「デッドライン」という言葉は、出版業界にて「原稿の締切」を意味するようになり、現在では幅広く使用される言葉になった。

「締切」のマイナス面「先延ばし」の原因

上で見たように、「締切」によって、マイナス面である「先延ばし」という傾向もある。

そもそも、人はなぜ「締切」があると、先延ばしをするのだろうか。

第一に、人は「締切」を把握すると、その期間内で自分にできるだけ多くの自由な時間を確保しようとする。

ゆえに、「締切」のあるタスクを後回しにしてしまうことがある。

これは「現在バイアス」としても説明できる。

「現在バイアス」とは、人が、今、目の前にある物事を「過大に評価」する強い傾向のことを表している。

いいかえると、人は目の前の誘惑にかられやすいと言える。

逆に、遠い未来のことになると、コストや報酬を「過小に評価」する傾向にある。

このように、人々は重要なタスクよりも、自分のプライベート時間を優先する傾向があるといえる。

第二に、人は「締切」に関する不安やストレスから逃れるために、タスクを先延ばしにすることがある。

これは、先にのべた、「deadline」の語源と関係がある。

期限が近づくにつれて、人々はタスクに対しての不安感やストレスが高まり、それに対処するために、タスクを回避する。

結果、「締切」を最後の瞬間まで先延ばしにしてしまうことがある。

「先延ばし」への対処法

では、この「先延ばし」を克服するためには、どうしたらよいのだろうか。

本書では、第一に「スケジュールから逆算してタスクに分割」し、それぞれのタスクに「個別の締切」と、達成基準となる「チェックポイント」を設定することを推奨している。

このように、大きなゴールを小さなタスクに分割し、それぞれのタスクに締切を設定することで、タスクをより管理しやすくなる。

そして、チェックポイントで進捗状況を確認し、予定通りに進めていくことができれば、小さな成功を味わい、モチベーションを保つことも可能だ。

第二に、実際の締切の前に、「仮の締切」を設定することをオススメしている。

ここでのポイントは、「仮の締切」を、実際の締切と同じようにあつかうことだ。

そうすることで、見積もりが甘かったり、何か予期せぬ問題がおきたときにも、実際の締切まで時間があるので、実際の締切を守ることができる。

まとめ

まとめると、『締め切りを作れ。』は、人々が先延ばしをする理由と、この行動を克服するための方法について、考察に富んだ魅力的な本。

本書はまた、「先延ばし」の神経学的な側面についても説明。

脳の前頭前野は、「計画、タスクの優先順位づけ」といった実行機能を担当している。

人々が先延ばしをすると、この領域が十分に活性化されず、タスクを時間内に完了することが困難になる。

現実的な目標を設定し、タスクをより管理しやすい小さなステップに分割し、一貫したルーティンを開発することの重要性を強調。

価値ある洞察と実践的なアドバイスを提供し、タイムマネージメント力を向上させ、生産性を上げたいと思っている人にとって、貴重な参考書といえる。


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