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レビュー『再読だけが創造的な読書術である』
本を読むときに、ぼくたちは実際に何をしているのでしょうか?
それは「知のネットワークづくり」であると教えてくれるのが本書。
確かに一冊の本の周辺には、いろいろなネットワークが存在します。
たとえば、その本を書いた著者のネットワーク、それが書かれた時代や文化のネットワーク、そして、その本が引用している別の本のネットワーク。
さらには、その本を読む人の過去の経験、出会った人々、いままで読んできた本、興味や関心といったネットワークも存在します。
本書のひとつの主張は、新しいジャンルの本を理解するときは、「自分が読んだことのある、間接的に関係する本を再読すること」が実は最短距離であるということ。
例えば、「中国思想史」を学ぶさいは、『キングダム』を読み返してみるといったことです。(『キングダム』を読んだことがあれば)
「中国思想史」と『キングダム』は直接的には関係なさそうですが、「中国」というキーワードで結ばれています。
このように、あたらしいジャンルの知識を学ぶまえに一度、自分のすでに持っている知識を棚卸することで、自分の知を整理することができ、新しいジャンルのネットワークとの接続が容易になります。
もう一つの主張は、知のネットワークづくりは、「どのように生きていくか」と同意であるということ。
それは、常に情報の濁流にさらされている現代社会において、知のネットワークが防波堤となり、個々人の生き方につながっているからです。
そして再読は、自分の知のネットワークを新たに組み替え、防波堤を強化していく行為。
それは、人の頭の中にある知のネットワークは、時間が経過することによって変化しており、過去に読んだ時とは異なった情報・刺激を与えるからです。
著者の永田希氏は、米国コネチカット州生まれの著述家・書評家。
書評サイト「Book News」を主宰し、「週刊金曜日」、「週刊読書人」、「図書新聞」、「HONZ」等でも執筆しています。
本書は『積読こそが完全な読書術である』(2020年)の続編。
再読の効用、作法を学びたい人にはうってつけの本です。
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