ビジネスと人生における笑いの力を解き放つ『ユーモアは最強の武器である』
本書は、私たちの個人的・職業的な生活におけるユーモアの力についての探求している魅力的な本です。
職場では、基本的に真面目であることが正とされ、笑うことは「ふざけている」とも取られがち。
「笑う」こと自体、雰囲気的にNGとなっているところもあり、ぼくが前に勤めていた会社でも、もっとユーモアの通じる職場であって欲しいと願っていました。
本書では、豊富な研究、個人的な体験、専門家へのインタビューをもとに、ユーモアを真剣に考えるべき理由を力強く示しています。
著者たちは、ユーモアが創造性、協力、人間関係の構築の触媒となりうる可能性を説得力を持って主張し、ビジネス界からの数々の実例を挙げてその変革的な効果を示しています。
本書の特徴は、軽快で楽しい調子を保ちながらも、実用的な洞察を提供する点にあります。
読者が自身のユーモアセンスを磨き、その利益を最大限に活用するためのさまざまな有用なテクニックやエクササイズを提供しています。
そう、ユーモアは才能によって決まるものではなく、トレーニングと実践によって強化することができるスキルなのです。
予期せぬものを受け入れることから自虐的なユーモアの使用まで、これらの戦略はプロフェッショナルな場だけでなく、日常生活でも役立つものです。
ユーモアの種はどうやって見つけるか
「どこに面白いものがあるのか…」という姿勢ではNG。
意識すべきは「事実を見つける」ということ。
自分にしか見えないような突飛なものを探すのではなく、誰にでも共通している物事から事実を抜き出すことが肝要。
さらにコツは、その事実に「フィルター」をかけることで、自分は「何が大好き」で、「何が大嫌い」で、「他の人は大して気にしないのにやけに惹かれ」、または「イライラする」のかを見つけること。
まずはそのフィルターにかけた上で、残った事実をユーモアへと変えていきます。
ユーモアへと昇華させる5つの手法
ユーモアは大前提として「設定」と「オチ」が基本構造。
この「オチ」の使い方がものをいいます。
そして、そのオチには以下の5つの手法があります。
① 大袈裟にする
② 比較する(大袈裟に)
③ 例える
④ 具体的なものを言う
⑤ 1,2の3で落とす
これらの手法は、人の「驚き」を誘発させるためにしていること。
くわしくは本書でご確認いただくと分かりやすいと思いますが、こういった型にあてはめれば、ユーモア磨きも楽になると思いました。
おわりに
本書の別の特徴は、十分な研究に基づいたアプローチです。
科学的な研究、心理学的な理論、事例研究を織り交ぜながら、ユーモアの影響に関する主張を裏付けています。
一番驚かされたのが、3才児は1日に300回も笑うのに対して、40歳は300回笑うのに平均して2~3ヶ月かかるというデータ。
それだけ大人になればなるほど、笑う機会が少なくなってしまっています。
こういったデータに基づいたアプローチは、著茶たちの主張に信頼性を加え、疑問を抱く人々や信じる人々の両方にとって説得力を増しています。
率直に自らの成功や失敗を共有し、リスクを取り、独自のユーモアの声を見つけることの重要性を強調しています。
本書を読むことは、ただ楽しめるだけでなく、考えさせられ、ユーモアの隠された可能性についての洞察を与えてくれます。
創造性の促進、人間関係の向上、ストレスの軽減など、笑いの変革的な力への新たな感謝を読者に与えてくれます。
ビジネスや個人の領域の両方でユーモアの力を解き放ちたい人々にとって、この本は貴重なリソースとなるでしょう。