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家族という名の怪物と、それでも生きていく:「住みにごり」

友人にすすめられて読み始めた『住みにごり』は、予想をはるかに超える衝撃作!

主人公である次男が実家に戻ってくるというシンプルな設定ながら、不穏な雰囲気が読者を物語の世界へと引き込みます。

浅野いにおさんの『おやすみプンプン』を彷彿とさせる独特な世界観は、一度読んだら忘れられません。

今回は、この作品から得た3つの視点について掘りさげていきます。

ストーリー:日常に潜む狂気

物語は、夏に実家に帰省した29歳の主人公の視点から描かれます。

寝たきりの母、癇癪もちの父、無言で引きこもる兄、離れて暮らす姉。

そんな家族の日常は、不穏な空気に満ちたもの。

そして主人公は、かつて好きだった幼馴染との再会。

その出会いをきっかけに、自分自身の今後について考えさせられ…

気持ち悪さがやみつきになる:謎と現実の交錯

『住みにごり』は、読者に不快感を与えるような描写が多く、決して心地よい読み物ではありません。

しかし、その「気持ち悪さ」こそが、この作品の魅力の一つと言えるでしょう。

登場人物の外見や行動、そして独特な絵の雰囲気が、読者の心に深く刻み込まれます。

ナゾ解き要素も豊富で、ページをめくる手が止まりません。

そしてなにより、登場するキャラクターたちの行動や心理は、ぼくたちの現実世界と接続しているように感じられます。

それはまるで、一つのワーストシナリオを見せられているような感覚。

介護が必要な母親や、日常的な暴力をふるう父親、コミュニケーションの取れない兄弟。

どれも現実社会で起こりうる出来事であり、読者は登場人物たちに感情移入したり、逆に距離を置いたりしながら物語を追っていくことになります。

人と深く関わるとロクなことがない:生と死、そして家族の絆とは

田舎に限った話ではないですが、人はそれぞれ「闇」を抱え、それぞれに「怪物」なんだと認識させられます。

登場人物たちは、それぞれに心のキズを抱え、互いを傷つけあっています。

主人公はまだ「怪物」にはなっていないかもしれませんが、物語が進むにつれて、彼もまた「怪物」の一員になってしまうのかもしれません。(まだ物語はつづいています)

また、生に執着し、物語がすすむにつれて家族の厄介者になってしまう母親は、ぼくにとってとても不思議な存在です。

個人的には、自分がもし寝たきりになり、パソコンもいじれないようになったなら、普通に安楽死を選びたいと思うでしょう。

(といっても、現在の日本では安楽死は認められていません。ですのでスイスに行く必要があり、200万円ほど必要なようです。)

まとめ

住みにごり』は、日常のなかに潜む狂気を描き出した一冊。

決して楽な気持ちで読める作品ではありません。

しかしこの作品は、読者に家族との関係や、心の闇、そして生きることの意味について多くのことを考えさせ、心に深い傷跡を残すでしょう。

一度読めば忘れられない、強烈な印象を残す作品です。

この作品を読んで、ぼくは家族間での人間関係の難しさを改めて感じました。

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