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ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(第十六章)
NFTアートは、全く価値がなさそうなものに価値がつくという不思議なもの、という印象が強い。
NFTアートとして売られているものも様々だが、画像と動画にしぼって考えると、本質はメディアアートだ。
メディアアートを理解することは、NFTアートを理解することにもつながると思い、東京藝術大学の「メディア芸術史」の授業でテキストとして使用されている、ベンヤミンの「複製技術時代の芸術作品」という論考を読み始めた。
「複製技術時代の芸術作品」が収録されている本は様々あるが、解説付きのがほうが分かりやすいと思い『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』を使用している。
異常心理に対する予防(第十六章)
本章ではクローズアップなどの映画の技法がどういった意味を持つのかを考察している。
興味深い視点は、映画が大衆の異常心理を抑える予防になるというものだ。
以下まとめ。
・映画の社会的機能で最も重要なものは、人間と機械との間の釣り合いを生み出すこと
・機械の力を借りて、人間が自分に向けて環境世界を描出する
・普段目を向けないものにクローズアップするなど
・いままで、思いもよらなかった巨大な遊戯空間を開く
・クローズアップ→空間が拡がる・物質の新しい構造を押し出す
・スローモーション→運動がふくらむ・未知のものを発見させる
・肉眼に語りかける自然→人間の意識によって浸透された空間
・カメラに語りかける自然→ 無意識に浸透した空間が現出
・例:人間の歩行について大まかに説明することはできるが、足を踏み出す瞬間の細かい動きについては何も知らない
・現実世界での幻覚=映画での変形や崩壊などの表現
・精神分析→無意識の衝動を知る
・カメラ→無意識の視覚を体験
・異常心理を持つ人や夢を見る人の、個人的知覚をも映画は表出
・ミッキー・マウスのように、どんな国でも通じる「集団的な夢の形象」を創出
・映画は、大衆の異常心理に対する、心理的予防の効果をもつ
・サディストの幻想やマゾヒストの妄想を映画で強調→集団的な笑いの対象になる→大衆の中でそれらを危険なまでに成熟していくことを防止
・サーカスの道化芸は映画の先行者→映画が作ったはじめの遊戯空間にも道化芸があり、チャップリンが重要な役割を果たした
・子供の反応をみても分かる通り「笑い」と「残虐性」は隣り合う
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