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ベンヤミンの『複製技術時代の芸術作品』を読み始める
NFT、ひいてはデジタルアートを理解するために、メディアアートの歴史について知りたいと思い、「複製技術時代の芸術作品」を読むことにした。
なぜ「複製技術時代の芸術作品」かというと、東京藝術大学の「メディア芸術史」の授業でも使用されているからだ。
個人的に岩波文庫が好きなので、「複製技術時代の芸術作品」が収録されている『ボードレール 他五篇』を購入し、サブテキストとして同じ訳者による『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』も併せて購入。
ここで思わぬ落とし穴が。
『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』は解説だけかと思いきや、「複製技術時代の芸術作品」もきちんと収録されていた。
しかも『ボードレール 他五篇』に収録されているものと訳者が同じのため、全くの同じ翻訳だ。
損をした気分だが、気を取り直して第一章から読み始める。
第一章
第一章は「複製技術時代の芸術作品」の目的について触れている。
たった2ページしかないのだが、訳に問題があるのか、それとも原文が難解なのか、すんなりと頭に入ってこない。
「予測的な要求」という言葉が使われているが、正直意味がわからない。
それでも何度かテキストの上を行き来しながら読み込んでいくと、以下の構
造がわかった。
マルクスの予測
① 賃金労働者への搾取が強化される
② 資本主義自体をなくすような諸条件が生み出される
②に関して「複製技術時代の芸術作品」では「芸術の発展傾向」について論じる
「複製技術時代の芸術作品」には下記の特徴がある
・ファシズム(独裁主義)の目的には役立たない
・芸術政策の革命的な要請を定式化するのに役立つ
「資本主義自体をなくすような諸条件」とは何かが気になるが、本書では明らかにされていない。『資本論』にあたったほうが良さそうだ。
第二章
第二章では芸術作品の技術的複製に関する歴史について触れている。
以下が簡単な歴史
・木版で版画が生まれる
・印刷技術で文字も複製可能となる
・19世紀初頭のリトグラフ(石版画)で、毎日新たな絵を作り出すことが可能となる
・写真の登場により、芸術家は初めて手で描く必要がなくなった
リトグラフとは何かを知らなかったが、ミュシャの下記の作品もリトグラムによるもので、カラフルで美しい。
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本章の最後では、複製技術が芸術の世界で独自の場を確保した経緯について、①芸術作品の複製、②映画芸術の2つが、伝統的な芸術にどのような影響を与えたかを考察することが役立つと提案している。
まとめ
ここまで読み進めてきたが、一筋縄では行かない書物だ。
理解のためには読書のスピードを落とし、頭のトルクを上げて、ゆっくりと毎日読んでいこうと思う。
たったの2章しか読んでないが、マルクスが引用されているように、マルクスの影響力は本当に大きいのだと知った。
『資本論』はまだ一度も手に取ったことがないが、これから手をつけて行きたい。
作家の佐藤優氏による『いま生きる「資本論」』は面白く、『資本論』を理解するための補助となる本を多数紹介しているので、それにしたがい『資本論』に切り込んでいきたい。
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