レビュー『ウサギのトトのたからもの』
ひさしぶりに大人にとっても魅力的な絵本に出会ったのでご紹介。
それは『ウサギのトトのたからもの』で、ドイツ出身の有名作家であるヘルメ・ハイネによる絵本だ。
たのしい物語とすばらしいイラストで、「探求のすばらしさ」と「世界の隠れた宝物」についての貴重な人生の教訓を提供している。
子供にとって楽しい読書となるだけでなく、親や教育者にとっても優れた会話のきっかけになる。
そして、真の成功とはなにかを考えるきっかけを与えてくれるので、社会人でも楽しめる内容だ。
物語
主人公はトトという可愛らしいウサギのキャラクター。
学校を卒業したトトは親元を離れ、「宝物」を見つけるためにシャベルをかついで広い社会に飛び出して行く。
トトは失敗と成功を繰り返しながら、徐々に自分がやりたい仕事に気づいていく。
彼が工場の見習いや手品師の助手と、いろいろな仕事を経験したあとでみつけた宝物とは一体…
イラスト
なによりも目を奪われるのがヘルメ・ハイネの魅力的で美しいイラスト。
かわいらしい動物たちの生き生きと描かれており、一気にトトの世界に引き込まれる。
すばらしいイラストなので、ぜひ表紙からだけでもトトのかわいらしさを堪能してほしい。
学び
本書は世界の驚異と、発見の喜びをメタファーとして提示している。
トトの冒険をつうじて、トトの興奮や好奇心、決断といったものに読者は共感。
そして、身のまわりにあふれている世界の美しさを気づかせてくれる。
シンプルでありながら深い物語と、ぼくたちの世界に隠された宝物に関するメッセージは、心温まり、考えさせるもの。
本書をつうじて、ぼくが受け取った学びは以下のようなもの。
・自分の天職をみつけるまで探し続けること
・どんなにつらい目にあっても落ち込まず、すばやく次の行動をとること
・人生で本当の「宝物」を見つけること
・その「宝物」を大切にすること
おわりに
原題は「TOTO DER SCHATZSUCHER」で、直訳すると「トトの宝さがし」といったところだろうか。
物語は、トトが隠されたお宝を探すという冒険を中心に展開。
好奇心の本質と、発見のすばらしさを捉えた名作といえる。
楽しい物語とすばらしいイラストで、人生の大切なものに気づかせてくれる。
心があたたかくなる味わい深い物語だ。