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知的な筆致で描かれた、大人のためエッセイ『いつか別れる。でもそれは今日ではない』レビュー
一言でいうと、本書は男性によって書かれた「素敵な女性とはなにか」というエッセイ。
「男性によって語られる女性」と、一見信ぴょう性にかけるように思えるが、男性側の素直な意見を聞けて、女性はハッとさせられるに違いない。
失恋を経験したことがない人には理解が難しいとおもうが、現在進行形で恋愛している男女にオススメ。
それに、詩的で現実的な筆致が冴えわたっており、エッセイというジャンルに拘束されることなく、多岐にわたるテーマが扱われている。
読み終えた直後は、まるでがつんと殴られたような衝撃を受けた。
本書の内容は深く、ときにシニカルで心地よさを感じた。
本書の第一の特徴は、著者の華美で上品な筆致といえる。
その筆致は全編に冴えわたっており、飽きさせない。
第1章では「恋愛しか頭にない女」に対して、かなり切り込んだ内容が展開されるのだが、「女子力を死語にしましょう」「都合の良い女と悪い女の違い」の項目は秀逸であり、よく言い当てたと思えた。
そして、もっとも印象に残っている言葉が、「もっといい人や運命の人だなんてものを探して、街を彷徨続ける人をディズニーランドみたいな女と私を呼びたい」だ。
まるで表現のテーマパークのような感覚をおぼえ、寂しい夜にそっと寄り添ってくれるような印象をうける。
読めば読むほど自分の感性が磨かれるような気がする。
本書の第二の特徴が、すぐれた自己啓発書にもなっていることだ。
同じ著者の3作目の本、『20代で得た知見』の書評でも取り上げたが、著者のエッセイは人生論だと思う。
本書の第2章からは、世間体・人間関係・過去といった現実と戦う方法が、ウィットにとんだ語り口で爽快に描かれている。
大学生の時に知っておけばよかったと思うことが山ほど盛り込まれており、社会人にとっても有効な人間関係のスキルが詰め込まれている。
本書から学んだことトップ3が以下。
・嫌いな人とは縁を切るべきだ。完全に切るぶった切る
・人間関係失敗するコツは、「忙しいことをかっこいいことだと思う」こと、そして「落ち込んでいる人に元気を出せと言う」こと
・読書は体系的にすべき。例えば『吾輩は猫である』を読んだら、それに対する解説をしている方や論文を5冊ぐらい呼んだほうがいい。多角的に1つのものに当たって初めて形式になる
こういった正直でいてシニカルな言い草は、読んでいる者に気づきと、ちょっとした勇気を与えてくれる。
まとめると、本書には社会についての深い洞察があり、読み終えた後には、自分自身や周囲の人々について、いままでとは違った見方を獲得することができる。
読む人によっては、自分自身の問題を理解する手がかりを見つけることができるはず。
この本は単なるエッセイとして楽しめるだけではなく、自己啓発書としても読むことができ、二重においしい本といえる。
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