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レビュー『ジス・イズ・ミュンヘン』
かわいい表紙におもわず見惚れて手に取りました。
ドイツ・バイエルン州の首都、ミュンヘンを紹介する絵本です。
黄色味がかったオレンジ色のカバーから、ビールを連想。
美味しいソーセージ思い浮かべつつぺーズをめくると、重厚な建物や美しい街並みにうっとり。
300年以上の歴史をもつビアホールから、マリーエン広場にある巨大なカラクリ時計、世界最大の民俗祭オクトーバーフェストといった有名どころをおさえつつ、ソーセージ店の店員さんや、街でみかける一般の人の生活をも垣間見ることができます。
個人的に気になったのは、「ソープボックスレース」なる毎年恒例のイベントで、こどもたちが手作りの車で参加するレースです。
おどろかされるのが、原著の出版は1961年ということ!
60年以上も前の本なので、とても古い本です。
それゆえに、内容が現代と合ってない箇所も。
たとえば、ハウス・デア・クンスト(芸術の家)に展示されていた ゴッホの「ひまわり」は、いまでは東京の美術館に所蔵されています。
(親切にも、絵本のなかのこういった古い情報は、最後のページにて補足がしてあります。)
ただ、絵本作品なので、過去と現在の違いは味になっており、歴史の資料としても引き込まれました。
たとえば、ビールをのせた馬車や、道路清掃人が使う「ちりとりワゴン」なるものも知ることができました。
著者はミロスラフ・サセックさんで、1916年のチェコ・プラハ生まれ。
彼は「旅する絵本作家」とよばれ、世界の都市を旅しながら描いた「ジス・イズ」シリーズは世界中で大人気です。
本作も「ジス・イズ」シリーズのうちの一作ですが、サセックさんが晩年を過ごした都市もミュンヘンであり、ミュンヘンへの深い愛情のようなものを感じます。
素敵な絵によって、本当にミュンヘンを旅しているような気分をあじわえる本でした。
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