レビュー『モンベルの原点、山の美学』
インドア派なのですが、なぜかモンベルのお店は大好き。
店内は落ち着いており、ギミック好きにはたまらない機能性の高い服がたくさんあり、アウトドア欲をくすぐられます。
それはなぜなんだろうと、モンベルのことを知ろうと思い手に取ったのが本書。
モンベルの創業者が書いた本です。
パタゴニアの創業者は元々ロッククライマーですが、モンベルの創業者も生粋の登山家。
21歳の若さでスイス・アイガー北壁の登攀(とうはん)に成功した経歴をお持ちというのに驚かされました。
著者の登山から学んだ人生哲学が語られており、前半のハイライトは若き日のアイガー登攀(とうはん)について、中盤は資本金ゼロからの起業、そして、後半の72歳でアイガー再挑戦。
山登りは経営そのものという著者は、「計画と準備、リスクマネジメント、そして、どんな時も楽しもうとする心」が大事と語ります。
「レインパンツも置いていけ。それが必要になる時点でその計画は失敗なのだ。」という、イタリアのガイドの言葉が印象的でした。
なによりも驚かされたのが、72歳でアイガーへの再挑戦の部分。
72歳というとぼくの父とあまり変わらない年齢なのですが、父には近所の山の登山でも、大丈夫だろうか?と心配になるくらい。
著者が体力を維持している秘訣は、毎年12回ほど「SEA TO SUMMIT」への参加だそう。
「SEA TO SUMMIT」は、海(カヤック)から里(自転車)、そして山頂(登山)をめぐる環境スポーツイベントで、モンベルが主催しています。
現在「SEA TO SUMMIT」のサイトを訪れると、全国で11大会行われており、日程は5月~8月、そして10月に集中していました。
また、本書を読んで、モンベルの本社が大阪にあること知りました。
他のアウトドアブランドのスノーピークの本社も新潟にあり、当たり前といえば当たり前なのですが、アウトドアメーカーの本社は東京よりも、自然への距離が近いことが大切なのだと思いました。
最後に、本書では著者の自然への思いがあふれており、それが従業員や店舗づくり、商品へと反映され、モンベルのお店の居心地の良さにつながっているのだと思いました。
やはり「熱」は伝わるものだということを、しみじみと感じました。