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【同人界隈・AIイラスト論争】語るなら著作権検定を取得したほうがいい話

2018年からたまに同人イベントをやってて、その兼ね合いで
2021年にビジネス著作権検定の初級と上級を取得した。

意外にも人生において役立っているというお話し。



■ Twitter(X)の著作権警察は多くが間違いという事実


生成AIイラストの技術向上や若年層の同人参加の増加などで
あいも変わらず各所で同人学級会が開催されている

www.pixiv.net/artworks/111920198 

だが…SNSを眺めていると7〜8割方が
独自の著作権法を武器に戦っておられる

そんな武器で大丈夫か???

↓ 具体例としてわかりやすいものを1つ

有資格者がこのポストを見て、すぐに分かることは以下の通りです

★著作権と所有権は全く違う権利
★著作権は最初に公開した人に付与されるものではない
★著作権が宙に浮く?オーファンの意か?んなことはない
★著作権が突如として奪われることはない
☆著作権法で保護される対象を知らないというのが分かる
☆著作権法の支分権についての理解が乏しいことが分かる

知財資格を有している方からみた場合
最低でもこれだけの状況把握が可能です


別にこの方がトクベツそうだとか、悪者にしたいということではなく
他にも多くの方がめちゃくちゃに自作した最強の著作権法を語っている。

ですが、さっきのポストも
インプレッションが高いのは著作権法等を知らない方がそれだけ多いということの証左でしょう。


簡単に説明と言い分を加えるなら

★著作権と所有権は全く違う権利
→ そんなの理屈でしょ?実際は同じじゃん!屁理屈だ!
→ いいえ全く違う。それなら展示権を貴方はどう説明しますか?
→ 手元のキンドルやアプリなどの権利周りをどう説明しますか?

★著作権は未公開でも付与されるんよ
→ 著作者人格権に公表権があるけど?どう説明しますか?
→ 未公開の著作物に限定されて付与される支分権もあるが?

★権利が奪われる?
→ 著作権は著作財産権といい、質権です
→ ですが債権者にわたっても著作権は行使できます
→ 奪われる?闇バ◯ト?ここは法治国家だが?

著作権検定だけでも取得すれば
こういうのがザーッとスラーっと出てくるようになります。

面倒くさがらず条文をよもうな

こういう方々の目的というのは、自己承認の他にインプレでの金稼ぎが目的だったりします。貴方のそのクリエイティブへの愛は利用されている。

いらすとやの「インプレゾンビ」コレジャナイ感すごい

「なにも知らん方が適当な権利を語って扇動している」

「インプレ稼ぎに使われているのは感受性が高いクリエイターたち」

「それによって引き起こされる不毛なAIや同人の争い」

こういった曖昧なオリジナル著作権法に騙されないために
いい加減な【私の考えた最強の著作権法】ではなく、
【普通の本当の著作権法】を学んだほうがいいと思う

そんな気持ちから、当時を思い出しつつ著作権検定についてnoteを書くことにしました。


■ 私が著作権検定を受験したキッカケ

(ここは自分語りなので飛ばしていいよ)

同人誌即売会でも、コスプレイベントでも、痛車イベントでも…

同人イベントを開催するとなると
膨大な量の「規約」と「書類」と「知識」が必要になります。

私は2017年から同人イベントの企画運営をしていて、
その都度、包括的な知識の部分で苦労してきた。

具体的には、消防法・食品衛生法・感染症予防対策(行政・官公庁リリースやガイドライン)・そして知財周り著作権法等です

「規約なんて、どこかからパクってきたらいい」
「誰もそこまで読まない、誰も気にしない」
「SNSでイイネをたくさん稼いでる著作権警察マンが正しい!」

それは素人考えのテンプレ。
同人にかかわらず、個人事業の基本は自己責任の世界。
レーターでもデザイナーでも一人親方でも。ずっと勉強しなくてはなりません、取り返しのつかない致命傷を負わないために。

問題が起きても会社は守ってくれません。
お金のやり取りが発生する個人事業というのは、無限責任。


ですので、小さな催事でも事故やリーガルな問題が発生すれば、民事と刑事においての法的な責任は主催者などの個人が全て背負うことになります。

規約についても、リーガルチェックをしなければならない。

誰が!?

主催者が!!!

特にイラストレーターやデザイナーの方々
法人成りではなく、個人事業主という方も多いと思います。

その際に税金や保険の勉強もされたと思いますが
著作権法(または知財法全般)も絶対に勉強しておいたほうがいいと思う。
自分を守るためにですね…。

食品に関しては保健所に問い合わせたら教えてくれる。
感染症対策については行政に問い合わせて厚生省のリリースを日々漁った。
消防法は施設側と、他の火気使用イベントへの問い合わせで補えた。

だけど知財関連についてはどこも教えてくれない。
本当に困っていた。

兎にも角にも著作権検定を受験することにした。


■ ビジネス著作権検定とは?

まんまイメージ通りです。著作権法についての試験です。

受験料:10000円以内
受験時期:年に数回あるよ
受験場所:自宅だよ
参考書:ビジネス著作権検定公式テキストのみでOK

ビジネス著作権検定公式

初級と上級があって結構難しい。

初級でこのレベル https://www.sikaku.gr.jp/bc/sample/

引用元:https://www.sikaku.gr.jp/bc/sample/

一度勉強してしまえば「初級、チョロwwwww」ってなるが何の知識もないと意味不明。

推しの子でもちょろっと出てきたね
画像メディアのみが引用箇所
(スクショ警察のツッコミどころですどうぞ)

ちなみにPCとウェブカメが必須でCBT受験方式です。


■  ビジネス著作権検定で学べること

★著作権について殆どのことを学ぶことができます。

私事で最近知財管理検定(国家資格)を受験したのですが
著作権のカテゴリーに関しては著作権検定で学んだレベルより浅めに感じました。それだけ著作権検定が著作権に特化しているという事だと思う。

★論理だてて目に映る創作物の権利が分かるようになる

著作権法で守られる著作物の条件は?
→ え?創作物はなんでも守られるのでは?

イラストや写真を模写したら著作権侵害?
→ 形を変えてるから微妙?んなこたぁない

二次創作って著作権法のどこに関わる問題をはらんでいる?
→ 原著作権者の持つ権利と、二次創作者の権利って違うの?

アニメの著作権は誰が持っている?
→ 製作委員会って聞いたことがあるけど…?あれ?原作者はどうなの?

これは本当にサワリの部分ですが
よく言われるアイデアも著作権法で守られません=表現してないから

「創作的に表現したもの」という条文があります
これは防犯カメラなど「ただ事実を取って出した創作性のないもの著作権法で守られる著作物ではない」ということです。

著作権法は枝(支分権)の束です

特に、同人界隈やAI論争で役立つ知識としては著作者人格権、データベースの著作物、そして支分権全般(複製権、譲渡権、公衆送信権、頒布権…)

このあたりが役立つと思います。

■ 勉強時間

新幹線や飛行機の移動時間を著作権検定の勉強にあてた程度です。
無事、初級と上級に合格しました。多分50時間くらい。

これ上級受けたときの。結構むずかった

ですが、著作権法は基本スタイルが技術を追いかける姿勢なので
常日頃から意識を多方面に向けていくという感じの向き合い方に変化します。そういう意味では勉強は永遠に続くでしょう。

よく言われる「法律が技術に追いついていない」
当たり前なんです。

なぜ???????

著作権法の目的は
「文化の発展に寄与すること」と定められているからです。

先回りして潰していってどうすんだよwwwwww

法を知っていけば、そういう浅慮な発言はできなくなる

例えば2018年にはAIイラストは今ほどのクオリティはなかった。
問題が顕現しなかった。
2024年現在は違いますよね。
新たに出てきた問題を察知したら、自分の知識で一度それを噛み砕いていく…というライフスタイルに変化していきます。

ですので合格に至る勉強時間は50時間でも、真に理解を追求していくとずっと勉強だという感じ…(言語化しにくい)


■ 資格取得後の変化

目に映るモノの権利を考えて生活するようになった。

イラストレーターさんが線や着彩をみるように
デザイナーさんがレイアウトやカーニングをみるように

身につけた技術によって他の技術が気になり始めるというものと同じ

判例上でしか存在してない。明文化もされていない。なのにあなたはすごく詳しいの?

超えてはいけない一線を察知できる。
守らなければいけない一線を把握できる。
ネットの多くの素人著作権ご意見は間違っていると分かる。

このあたりの実用性は高いです。

同人やAIの学級会を見かけたらアタリをつけられる
まずもって知財権のどこの権利の話しをしているのか?
どの支分権や産業財産周りに抵触しているのか?
そして過去の判例はどうか?とアタリをつけて深慮できるようになります。

最初に述べたように「何も知らないで扇動している人」というのは容易に察知できるようになるので、多くの同人学級会員に騙されなくなる。

さらに上には知財管理や弁理士といった枠もあるので
この検定の知識をひけらかしても金になりません。

自分を守るために勉強しておく取得しておく、
恥をかかないために知識をつけておく
無知 VS 無知 といったアホ同士の争いを見抜ける程度のものだと私は思います。


■ 曖昧な著作権への知識のままだと疲れない?

現代社会において著作権問題はどんどん身近になってきている。
言わずともみなさんご存知だと思います。

生成AIの発達や、同人文化と時代の親和性の乖離、
侵害された際の対応など…貴方が消耗しない、脅かされない
そしてありもしない権利侵害などでギャーギャーSNSで騒ぐことがなくなる

まずは必要な武器(知識)を手に取ることをおすすめします。




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