【感想】西林克彦『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』
【概要・要約】
「わかった」思い込むが、実際には読みが不十分である、「わかったつもり」について分析し、その原因や対処法を述べる。不十分な理解だと振り返ってわかったとき、自分は「わかったつもり」であったことに認識するのだ。
これへの対処法として、自分は「わかったつもり」でいるのだと認識しておく必要がある。文脈から具体的な意味を結び付けて考えることをあげるが、その一方で、ときには文脈が理解の妨げとなることを述べる。文章を読んだ解釈は整合性をもつ必要があり、その検討を通して読解を深めることができる。
【感想】
タイトル買いだ。帯の文も大変印象的だ。
「わからない」ことよりも、「わかったつもり」でいることの方がはるかに問題だ!理解力・読解力を磨くための一冊
ここ最近の文献購読の授業で、論文を批判的に読んで疑問点を見つけだしていく作業をするのだが、「わからないところがわわからない」という切実な事情があり、この本に思わず手を伸ばした。
自分なりに概略や解釈を述べるときに、「当たり障りのないきれいご
と」が出てきたら要注意なのです。
本書のこの言葉がブッ刺さる。常識で読んでないか?思い込みじゃないか?文中の言葉や表現を読み飛ばしてないか?自分の読みで気を付けなければ。
また、整合性がある限り解釈は自由、という言葉はに長年のモヤモヤが解消されたような気がした。
「何で入試問題で国語は一つしか答えがないんだよ!!」
かつての俺の心の叫びであるが、当時は解釈の整合性というものを考えていなかったのではないか。いわば、俺の読みが正しいという大変傲慢な読みへの態度であった。
自分の解釈に謙虚たれ。もっと良い読みができるという認識を持って文章を読む必要がある。
ぜひ一度読んでみてほしい。自分の言葉ではこの本の魅力をほとんど言い表せていないからだ。
【紹介した本】
西林克彦『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』(光文社新書)
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