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法務ニュース・ちょっと解説|開始した破産手続の取消し?(2024.11.12)

法務ニュース・ちょっと解説。

昨日のニュースになりますが、関西の家電メーカーの破産手続が、開始決定後に取消し(即時抗告)を申し立てられるという比較的珍しい経緯をたどっていますので、ちょっと見てみます。

ニュース記事にもありますが、2つの方法があります。

①開始決定に対する即時抗告

ひとつは、これがニュースになっているわけですが、破産手続開始決定に対する不服申立てです(即時抗告。破産法33条1項)。

(抗告)
第三十三条 破産手続開始の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

これだけだと、誰ができるのか?という感じですが、「利害関係人」ということになっています。

(不服申立て)
第九条 破産手続等に関する裁判につき利害関係を有する者は、この法律に特別の定めがある場合に限り、当該裁判に対し即時抗告をすることができる。その期間は、裁判の公告があった場合には、その公告が効力を生じた日から起算して二週間とする。

報道によると、「同社取締役の一人が同24日、取締役会の決議を経ない『準自己破産』を東京地裁に申し立て、破産手続きの開始が即日決定した。」とのことなので、本件はいわゆる法人の準自己破産のケースになります(引用元:船井電機の破産、会長が取り消しを申し立て 「債務超過ではない」|朝日新聞デジタル)。

法人の準自己破産の場合、開始決定に対する「利害関係人」は、債権者、及び、申立人以外の取締役・理事等とされています。

なので、”10月初旬までに同社の代表取締役会長に就任した”という経緯からみると(産経新聞の記事参照)、即時抗告権者なわけですね。

②破産手続の失効

もうひとつは、上記のニュース記事にもありますが、他の倒産手続を申し立てることによる、破産手続の失効です。

民事再生手続を申し立て、再生手続開始決定があると、破産手続はいったん中止となります(民事再生法39条1項)。

(他の手続の中止等)
第三十九条 再生手続開始の決定があったときは、…(略)…、破産手続、再生債務者の財産に対して既にされている再生債権に基づく強制執行等の手続及び再生債権に基づく外国租税滞納処分並びに再生債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は中止し、特別清算手続はその効力を失う。

破産手続は再生手続開始決定によって効力を失うことはありませんが、再生計画の認可決定が確定すると、中止していた破産手続が失効することになります(民事再生法184条)。

(中止した手続等の失効)
第百八十四条 再生計画認可の決定が確定したときは、第三十九条第一項の規定により中止した手続又は処分は、その効力を失う。ただし、同条第二項の規定により続行された手続又は処分については、この限りでない。

しかし、本日のニュース(2024/11/13)にもありますが、中々難しそうです。

以上、法務ニュース・ちょっと解説でした。


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