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養生訓 巻第八 鍼 鳳凰堂流解釈②


原文を現代文に改変

内經に、熇々(こうこう)の熱を刺すことなかれ。渾々の脈を刺す事なかれ。漉々の汗を刺す事なかれ、大勞の人を刺す事なかれ。大飢の人を刺すことなかれ。大渇の人新たに飽る人、大驚の人を刺す事なかれと言えり。

又曰形氣不足、病氣不足の人を刺す事なかれ、是内經の戒なり。

是皆有瀉而無補を謂うなりと正傳に言えり。

又浴(ゆあみ)して後即時に鍼すべからず。酒に酔える人に鍼すべからず。食に飽て即時に鍼さすべからず。針醫も、病人も、右内經の禁をしりて守るべし。鍼を用いて利ある事も、害する事も、藥と灸より速なり。よく其利害をえらぶべし。

つよく刺して痛み甚だしきはあしし。又右にいえる禁戒を犯せば、氣がへり、氣のぼり、氣うごく。はやく病を去んとして、かえって病くわわる。

是よくせんとしてあしくなる也。つつしむべし。

鳳凰堂流意訳

黄帝内経には、熱が激しければ刺してはいけない。
渾々と流れている脈の場合は刺してはいけない。

したたるような汗をかいている場合は刺してはいけない。

疲労困憊している人に刺してはいけない。

お腹が空きすぎている人に刺してはいけない。

喉の渇きが酷い人、お腹が一杯になったばかりの人、大きく驚いた人に刺してはいけない、と言っている。

又形氣が不足している人、病氣(邪気)が不足している人に刺してはいけない。

これが黄帝内経に書かれている戒めである。

これらは全て、泻法をして補法がないと言うと正傳には書かれている。

又入浴後すぐに鍼をしてはいけない。

酒に酔った人に鍼をしてはいけない。

食事してお腹が一杯になった後直ぐ鍼をしてはいけない。

針医も、病人も、上記黄帝内経に書かれている禁止事項を理解し守るべきである。

鍼を用いた場合、利も害も、薬や灸より迅速に現れる。その為よく利害を考えるべきである。

強く刺して痛みが酷いのは良くない。

又上記の禁戒を犯せば、氣が減り、氣がのぼり、氣がうごく。

早く病を取り去ろうとして、かえって病が加わってしまう。

これは良くしようとして悪くなっている状態であるので慎むべきである。


鳳凰堂流解釈

鍼を学び、使う第1段階の注意事項であり、

この型を学ぶのは良いがいつまでも固辞すると鍼師、鍼医にはなれない。

禁鍼穴は抜群に効く場合があるが、あまりにも繊細な選穴、角度、深さ、タイミングが要求される為、禁鍼穴となっているのと同義である。

そして物理的な鍼は刺せなくとも、鍼を翳すだけでも効果は出る。

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