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養生訓巻第二総論下 鳳凰堂流解釈61
原文を現代文に改変
易道は陽を善として貴び、陰を惡として卑しみ、君子を貴び、小人を卑しむ。
水は陰類なり。
暑月は減るべくしてますます多く生ず。寒月は益すべくして却って枯れて少なし。
春夏は陽気盛んなる故に水多く生ず。秋冬は陽気衰うる故水少なし。
血は多く減れども死なず。氣多く減れば忽ち死す。吐血、金瘡、産後など陰血大いに失する者は、血を補えば陽気いよいよ尽きて死す。気を補えば生命を保ちて血も自ずから生ず。古人も血脱して氣を補うは、古聖人の法なりと言えり。
人身は陽常に少なくして貴く、陰常に多くして卑し。故に陽を貴んで盛んにすべし。
陰を卑しんで抑うべし。元氣生々すれば真陰も亦た生ず。陽盛んなれば陰自ら長ず。陽気を補えば陰血自ずから生ず。もし陰不足を補わんとて地黄、知母、黄柏など、苦寒の薬を久しく服すれば、元陽を損ない、胃気衰えて血を滋生せずして、陰血も亦た消ぬ。
又、陽不足を補わんとて烏附(うぶ)等の毒薬を用ゆれば、邪火を助けて陽気も亦た亡ぶ。これは陽を補うにはあらず。
鳳凰堂流意訳
周易の道は陽を善として貴び、陰を惡として卑しみ、君子を貴び、衆人を賤しむ。
水は陰である。
暑い月は水は減るように感じるが、増えていき、生じていく。
寒い月破増えるように感じるが反対に枯渇したり凍って少なくなる。
春夏は陽気が盛んになる為に水が多く出てくる。
秋冬は陽気が衰える為に水も少なくなる。
血は多く減っても死なないが、氣は多く減れば直ぐに死ぬ。
吐血、金属傷、産後等では陰である血が多く出ていくが、この時に血を補うと陰陽平衡が保てず、陰血が多くなり過ぎるので陽気が尽きて死ぬ。
このような場合は、氣を補う事で命を保てば血も自ら生じてくる。
古人もよく血が出ていった場合に氣を補っていた為、これは古聖人の法であると言える。
人は陽気を使って活動している為、陽気は常に少なく貴いもので、陰血は常に多く賤しいものと考える。この為、陽気を貴び盛んにすることを考え、陰血を卑しんで抑える事を中心に考える。
陽気(元氣)が生々流転すれば本質的には陰血、陰も又再生して生じてくる。陽気が熾であれば陰血は自分で差始生する。
もし陰血の不足を補うために、地黄、知母、黄柏等苦味、寒性の薬剤を長く服用すると、元々ある陽気を損なう事で、胃気が衰えて、血が自ら再生したり、血を滋養することができずに陰血まで消えてしまう。
又陽気不足を補おうとして、烏頭や附子などの毒薬を使えば、体内に毒として存在している熱、邪火も助けることになり、陽気、正気が亡んでしまう。これは陽気を補う事ではない。
鳳凰堂流解釈
周易の理を用いながら、実際の状況にまで広げて説明しています。
五行理論の要諦は、互根互用、消長平衡、相互制約、陰陽転化の4項目に集約されます。現在では、この解釈もずるずると増えていますが、周易の理から発する事を考えると、この4項目だけ実際の生活と照らし合わせられれば十分です。
一方で、人の氣と血に関しては、本人自身の身体の力を信じ、身体の力で回復させる事を考えると、できるだけ外からの余分な力を加えるべきではなく、外からの余分な力が長期間加わることは、金銭主体のサービスとして、施術者の日銭を稼ぐ事に理はあったとしても、患者には害となる事を心しておくべきです。