養生訓 巻第三 飲食上 鳳凰堂流解釈56
原文を現代文に改変
食少なければ、脾胃の中に空虚ありて、元氣めぐりやすく、食消化しやすくして、飲食する物皆身の養いとなる。これを以て病少なくして身強くなる。もし食多くして腹中に満つれば、元氣の巡るべき氣を塞ぎ、隙間なくして食消せず。これを以て飲み食う物、身の養とならず。滞りて元氣の道を塞ぎ、巡らずして病となる。甚だしければ悶えて死す。これ食過ぎて腹に満ち、氣塞がりて、巡らざる故なり。食後に病起こり、或いは頓死するはこの故なり。凡そ大酒大食する人は必ず短命なり。早く止むべし。返す返す老人は腸胃弱き故に、飲食に破られやすし。多く飲食すべからず。恐るべし。
鳳凰堂流意訳
飲食が少なければ、脾胃の中に空虚がある為、元氣がめぐりやすく、飲食も消化しやすく、飲食するもの全て身体を養う。
これによって病が少なく身体が強くなる。
もし飲食が多く腹中に満ちていれば、元氣が巡るべき氣を塞ぎ、隙間なく飲食が消化できなくなる。
これによって飲食が身体の養とならなくなる。
滞ると元氣の道を塞ぎ、巡らずに病となるのである。これが酷ければ悶えて死ぬ。
これ飲食が過ぎて腹に満ち、氣が塞がって巡らないからである。
食後に発症し或いは突然死するのはこの為である。
凡そ大酒大食する人は必ず短命である。
早く節制すべきである。
高齢者は胃腸が弱い為、飲食で壊れやすい。多く飲食すべきではない。この事を深く念頭において、恐れ、気を付けるべきである。
鳳凰堂流解釈
鳳凰堂では、身体よりも魂を大切に考えている為、最後に書かれている恐るべしには同意できません。
しかし、身体を杜撰に扱えば、最終的には心にも魂にも反する状況となります。
心と身体もまた陰陽。
自身の状況に合わせて制御できる人、大人になる事は意識しておきたいものです。