養生訓 巻第五 五官 鳳凰堂流解釈⑪
原文を現代文に改変
氣の良く巡りて快き時に、導引・按摩すべからず。又冬月按摩を忌む事、内経に見えたり。
身を勞動して氣上る病には、導引・按摩共に悪しし。
只身を静かに動かし、歩行する事は四時共に良し。
尤も飯後に宜し。湧泉の穴を撫づる事も、四時共に良し。
鳳凰堂流意訳
氣が良く巡り、心地よく思っている時には導引、按摩は不要である。
又冬は按摩を避ける方が良いというのは、黃帝内経に書かれている。
身体を動かして氣が上がる病には導引・按摩はどちらも良くない。
ただ身体を静かに動かし、歩行する事は1年の四季を通して全て良い。
最も良いのは食後である。湧泉穴を撫でるのも四季を通して良い。
鳳凰堂流解釈
気が巡っていれば、ケアする必要がない。
気が滞っているから導引(腹式呼吸を伴った体操)、按摩(セルフマッサージ等)でケアをしてあげることで通常の気の巡りに戻す。
冬は按摩を避ける方が良いという点に関しては、たんに黃帝内経を鵜呑みにするのではなく、状況や按摩の方法によっては可能であり、身体を動かして気が上がる病であれば下半身を中心に氣を巡らせることで氣は下りる為、祝由、導引、按蹻、毒薬、鍼灸共に施術者の力量が問われる所であり、この点は貝原益軒の力量、見識等疑わしく思うところでもある。