養生訓 巻第三 飲食上 鳳凰堂流解釈④
原文を現代文に改変
飯はよく熟して中心まで和らかなるべし。
こわく粘きを忌む。煖なるに宜し。
羹は熱きに宜し。
酒は夏月も温なるべし。
冷飲は脾胃を破る。
冬月も熱飲すべからず。氣を上せ、血液を減らす。
鳳凰堂流意訳
食べ物は良く熟し中心まで柔らかいものにすること。
硬く粘り気があるものは避ける。
暖かいものが良い。
羹(あつもの)は冷える前に、温かい状態のうちに食べる方が良い。
酒は夏であっても熱燗が良い。
冷酒は脾胃を痛める。
冬は熱すぎないようにする。熱すぎると気が上がりすぎ、血液を無駄に消耗するからである。
鳳凰堂流解釈
ここでは、飲食の寒熱について書かれています。
始めの熟は熱と考える方が良いのではないかと思います。
夏は身体が熱を出す為に毛穴を開いて汗を出そうとします。
つまり、体内から体外へ向かって熱が放散されているので、中に冷たいものを入れると体内、体外共に冷えてしまい、元気を消耗し、脾胃に大きな負担をかけます。
冬は体内の熱を逃がさないように体表は多少冷えても体内には熱が隠っている為、それ以上の熱を入れると脾胃には大きな負担となります。
その為、冬は脾胃の負担を減らしながら過剰な熱は避けるのが良いのです。