042_『霧と鉄と山と』/ 青木野枝
会期終盤に差し掛かった展示へ。府中市美術館にて青木野枝『霧と鉄と山と』。
府中駅からは徒歩で20分程。風もあまりない気持ちの良い日で、公園で休日らしい時間を過ごす家族連れや、散歩やジョギングする人を横目に美術館へ。
初めて来る美術館。
エントランスの天井が高く、空間が、こちらも気持ちが良い。日差しが空間に差し込む。美術館にとても似合う。
野枝さんの作品は彫刻が主体で、かつ大きなサイズの作品が多い。結果的に屋内よりも屋外での展示が多いような気もする。
個人的にも香川県の『瀬戸内国際芸術祭』や新潟県の『大地の芸術祭』にて目にした作品のほとんどは屋外作品だった。また、どちらかと言うと、設置された環境、場所の印象の方が強く、作品自体の印象が薄れていたのも正直なところ。
ところが、この美術館のいわゆるスタンダードなサイズ感の空間に置かれた野枝さんの作品は、とてもビビッドに、力強くそこに存在していて、点数は少ないものの、どれもずっと見ていたくなる、そこにずっといて欲しくなる作品。
丸を多用している作品が多く、もともと備わっていた浮遊感に親近感が足されていて、可愛らしいくらい。
いくつかの丸には半透明のガラスがはめられていたり、あるいは鏡面になっていて、立つ位置によって変わる表情がまた面白い。
作品は展示のためにその空間で作られ、展示が終わると解体される。
そこにあの作品があったという記憶。を大事にしたい。