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050_『十二月の十日』 / ジョージ・ソーンダーズ

本国アメリカでの発売は2013年。そして、日本での翻訳版の初版発行は2019年12月30日。こんな傑作でも翻訳されるまでに6年も掛かってしまうのかと、驚きを禁じ得ない。

ただ、この作品については翻訳は難航したと想像する。まず、タイトルが難しい。原題は『TENTH OF DECEMBER』。直訳すれば「十二月十日」になるけれど、これだとしっくりこない。一方で、「十二月の十日」では十二月のとある十日間のような気もしてくる。この原題は絶妙。

そして、内容についても同様。作家の想像力が縦横無尽に駆け巡っていて、それが言語化されたこと自体が奇跡なのにで、それを更に日本語に翻訳するという離れ業。

正直な所、英語で読むとまったく受け取る世界観が変わりそう。それでも十分に面白い。

2013年の作品にして、この2019-2020年の世界を予言したかのような内容。そして、非常にアメリカ的。文学の想像力こそが時代を乗り越えるための大きな力だと信じさせてくれる。

それにしても、この短編集。中でも際立つ存在感を放つ『センプリカ・ガール日記(The Semplica Girl Diaries)は必読。先日観た、アリ・アスターの『ミッドサマー』を彷彿とさせる。

流石、現代アメリカを代表する作家。


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