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効果的利他主義と、寄付するリズムを身体に馴染ませること

あるときから、寄付について考えることが多くなった。きっかけは、ピーター・シンガーと、ウィリアム・マッカスキルの効果的利他主義(EA)について知ったこと。

こちらは絶版だけど電子版がある。シンガーの方が薄かったはず。

こちらの方がより体系立てている。ちなみに、『スマホ時代の哲学』でも少し言及した。ジョブズのところ。


ざっくりいうと、先進国の人間は、収入の決まった割合を寄付すべきであり、しかも単なる善意や共感でなく効果的な投資先に寄付すべきである、というもの。

大学院生時代、EAの寄付の促し方に触れたとき、「どうして道徳的な目的の寄付を少額しかしてこなかったんだろう?」と恥じたのをよく覚えている。先進国の少額は、場所を移せば決して少額ではないということを私たちは頭で知っているはずだが、そのことがもたらすインパクトや責任についてあまり考えてこなかったなと素直に反省したのだ。

EAでは、寄付すべき金額ではなく、寄付すべき割合として基準が設定されているので、収入が少なく、奨学金を借りている学生のような立場でも実践可能だった。

なぜEAが当時のわたしに魅力的に映ったのか。その理由はいくつかある。

ひとつは、明らかに大学院生という不安定な身分にある。アルバイトをしていたが、それでも大した額にはならず、学費は払っているし、返済必須の奨学金も借りている。


そういう何者でもない無価値な自分という自己意識を振り払う一助になったことは否定できない。「こんな私でも世界に対して何事か誇ることをなしている。これは単なる施し以上のもので、その帰結を直接私が実感することがなくても、誰かが具体的かつ効果的に助けられている」と信じることができた。

上から目線に聞こえるかもしれないが、どちらかというと、祈りのようなもので「こんなものでも世界が少しマシになるなら」と思いながら、クレカ情報をポチポチしていた。(そう、最近の寄付は大抵クレカ対応しているのだ。)それに、上から目線に見えたとしても寄付しないよりする方が倫理的なので、どう見えるかなど本当のところどうでもいいことだと言うべきかもしれない。

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