疑問文の、嘘

疑問文は尻上がり、よう言われますが、これは本真なんでしょうか?

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結論から言うと全国の方言で様子は異なります。まずは東京方言から。

あいつも来る。↓
あいつも来る?↑

たくさん食べたの。↓
たくさん食べたの?↑

ああ、そうなんですか。↓
へぇ、そうなんですか?↑

東京方言の疑問文は、語尾が何であろうと関係ありません。あくまで語尾を「上げるか、下げるか」で疑問文なのかそうでないのか区別します。

しかし、これは東京方言だけの話。博多弁や鹿児島弁では「あいつも来ると?」「来るとな?」など、「~と」「~な」などの語尾を付けることで疑問文をつくります。それは、逆にいうと語尾を「上げるか、下げるか」は関係なく、鹿児島弁なんかは専ら語尾を下げるそうです。

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さてさて、上方語(ここでは、京阪語)は、どうなんでしょう。順に見ていきましょう。

①や、である体

京阪語の疑問文は、原則語尾で判別します。語尾に「ん」を付けると、疑問文となります。

あいつも来るん?↓
あいつも来るねん。↓

しかし、「ん」を付ける場合でも語尾が上がることがあります。語尾上がりが意味するものは何でしょう?

実は、京阪語では、相手に語りかけるとき、文末が上がる傾向があります。疑問文かどうかは、関係なく。

昨日は何食べたん?↓
昨日は、何食べたん??↑
昨日はお好み焼き食べてなぁ、↑
それから……
…聞いて!↑

ただし、確認・勧誘の場合は「ん」を付けません。ここは東京方言とほぼ同じかと思いますが、

注:イントネーションは、この時のみ語尾が上がります!

明日、道頓堀行く?↑
うん、行く!/行こう!→

理由は後程。

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②です、ます体

丁寧語の場合、原則「ん」は付けません。この場合、語尾は上がります。

行かはりますか?↑
成程、行かはりますか。↓

しかし、以下の例の場合、状況は異なります。

どこ行くんですか?↓

これは文末を下げても、疑問文として成立しています。

なぜでしょう?(↓)

理由は、「疑問詞が入っているから」です!

「なにが」「どこに」などの疑問詞があれば、それは疑問文なので、わざわざ文末を上げたりせずともそれは質問であると解るわけです。なので、この時文末を上げれば、それは語りかけ、問いかけを意味します。

先程の例、「勧誘」の疑問文も同じです。勧誘の場合は、「ん」を付けません。よってそれが質問かどうか文字だけでは分からんので、文末を上げ「語りかけ」にすることで、疑問文であると相手に解ってもらう、という訳です。

質問やと解ってもらわれへんだら、一緒に遊びに行ってくれませんからね!そんなフラれ方は、悲しい!笑

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それでは、まとめ。

①平常文の疑問文は普通、「~ん?」とする。「ん」は質問にしか付かんので、文末はわざわざ上げる必要はない。

②「なにが?」等の疑問詞が入る場合も、わざわざ上げる必要はない。

③それ以外("何か"食べる?等も含む)は、質問かどうか区別できひん(「私が」何か食べる、と判別不能になる)ので、語りかけの「文末上がり」を用いることで質問とする。