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妻の疑念、娘の喜び、そして私の思い
仕事終わってからの地獄のルーティンを終え
パソコンに向かって作業をしていた時のこと
娘が突然、これ食べていいと私の前に提示してきた
それはクリスマスにサンタからもらったお菓子のブーツだ
まだ食べてなかったの?と聞くと
大事にとってあるんだ!とのこと
大事にか…
私にとってクリスマスといえば
プレゼントもそうだが
このお菓子のブーツがとても印象深く
大人になった時には、これを見るたびにクリスマスがきたなぁと思い
子供の頃は起きてまず、お菓子のブーツを手に取って喜んでいた
そして入るはずのない足を突っ込んでは
ニヤニヤしていた時の記憶が、今でも鮮明に残っている。
なので娘にもお菓子のブーツは必須として
我が家にも組み込まれている。
そんなブーツを大切にとっている娘に
私と同じ感覚を持ってくれているかもと
淡い期待を寄せてしまった。
私は食べてもいいと告げ
娘は喜んでお菓子のブーツを開封し出した。
私は喜んでいる娘の声を聞きながら
パソコンに向かった。
すると「わぁ!」という妻の声が聞こえてきた。
何事か?と目線をやると
妻がお菓子のブーツを見て絶句していた。
何?虫でも入ってたか?
そう思ったが、娘は依然喜んでいる。
どうした?と声をかけると、妻がか細い声で
「底上げが…」と呟いた
娘の付近を見てみると
見るからに10センチは超えているだろう台上げの台紙
妻はそれを見て絶句していたのだった。
私の子供の頃は…台上げしてたかな?
多分、こんな台紙であげてなかったかなぁ。
靴自体がシークレットブーツみたいに
底が上がってたんじゃないかな…。
しかし近年の台上げは台紙
その台紙に何やらクイズ的なのが載ってあり
それを見て娘は喜んでいた。
まぁ、いいんじゃないだろうか
そう思って妻の顔を見ると…そうでもないっぽい
わからなくもない
お菓子の数も多いわけではないし
お菓子を全部計算しても
ブーツの値段にはならないし
今、妻の顔が
“娘が喜んでるからいいか”と“値段と釣り合ってない”
の顔が、混在している
ここはどちらの顔が勝つにせよ
結果を変えることができないと思い静観し
またパソコンに向かうと
妻が近寄ってきて写真を見せてきた。
お菓子のブーツの値段が、半額になっている写真
12月25日の夕方には値下げが行われていたらしい
それを何故このタイミングで見せるのか、甚だ疑問ではあるが
どうやら妻は「このお菓子のブーツ高くない?」と
自分の考えてる世界に引き込みたいらしいのは伝わった。
季節のもでもあり
縁起物でもあるようなお菓子のブーツ
本当に異様に高いなとは思っていた。
しかも今回は0歳の娘にも
食べれないことはわかっていたが
一番小さいお菓子のブーツを用意はした。
何故なら、サンタを信じている6歳娘が
0歳にプレゼントをあげないサンタの事を
ケチくさいと、思われるは嫌だったからだ。
二つ合わせて…1500円はしたかな?
で、中身は…500円もいかないかなぁ
妻の顔を見ると
“来年はどうする?”と
“ぼったくられてない?”の顔が混在している
私は少し考えた後
もらった時の嬉しかった子供の頃の記憶を尊重したい事を告げた。
妻は文句を言わずに、“私の意見に納得した”と
“子供にあげたい気持ちはあるけど、あまりにも台上げしすぎじゃない?”の顔が
混在しながら台所へ向かっていった。
私はパソコンから離れ
台紙のクイズに答えている6歳を抱き上げ
盛大に食い散らかしてくれと懇願した。
何故ならそれで私も妻も報われそうだったから。
娘は訳もわからず、私の言ったことに喜んでくれた。
すると台所から出して、こちらを見ている妻の顔は
“散らかさないでほしい”と
“誰が掃除すると思っているんだ”の顔が混在していた。
どうやら私の最後の選択は間違っていたらしい…。