小劇場への想いと、自分の感覚の憂い

昨日、劇団6番シードさんの
舞台を見させていただいて感想を書いた。

本当に観劇中、ずっと楽しませてもらえ
とても、いい時間を過ごせた。
こういう舞台は、はじめて舞台を観る方も
それに役者をしている人間、これから役者を目指す若者にも
とても刺激的で活力になると思っている。

実際、今回観に行った時
前に座っているお客さんがはじめての観劇だったらしい発言をしていて
そして観終わった後、とても満足したことを
誘ってくれたお連れの方に話ている姿を見て
とてもいい光景だし
これからも機会があれば小劇場の世界に触れてほしいと思った。

それだけ魅力のある作品を提供してくれた劇団６番シートさん
これからも続けてほしいし
色んな人を魅了して小劇場の世界に新たなお客さんを引き連れてきてほしい
と、本気で思った、そういう劇団さん。
そして自分もこういう舞台をまた創りたいとか
小劇場の世界に戻りたいなぁとか思わせてくれた。

…戻りたいってカッコつけてるなぁ
ただ声もかからず仕事がないだけなのに…

とにかくまた小劇場に自ら飛び込んで
何かやりたいなぁと思ったけど…思いはしたけど…
もし自分がやるとしても
この小劇場の世界に自分の居場所はない
いや、正確には作れないかもとも思った。

それは小劇場で顕著に見られるチケット代の高騰が原因です。

劇団６番シートさんを引き合いに出すのは本当に申し訳ないけど
今回の通常チケットが6500円だった。
特典かなんかつくチケットは、もう少し高かったような気がする。
で、正直はじめは6500円、高ぇなぁ…と思った。
で、観劇後、6500円は妥当だなと思った。
だって、舞台美術は素晴らしく雰囲気作りも申し分ない。
そして何より作品・役者のクオリティもいうことない。

本当、今の小劇場…
いや自分が声がかかって観に行く舞台の約８割が
舞台美術もない、暗幕だけとか
ちょっと装飾つけてそれっぽく見せるとか
舞台美術があったとしても
継ぎ目がくっきり見えてて素人がたてたのか？って思えるのとか
作品に至っては…まぁ、これは好みもあるし
作品内容は色々あって然るべきだから文句は基本ないけど
キャストを出しまくって誰が誰かわからないし
もはやこの役いるか？みたいな、自分から見たら捨て役っぽい子が多く出てて
作品そっちのけのうっすい内容でキャストの宣伝重視なのか
推しがいて、はじめて楽しめるような作品で
作品重視の自分からは、観たくない観てられない舞台が
今回の6500円に近い値段を取ってたりする。

めちゃくちゃ文句言ってますが、これは自分の勝手な見立てです。
そして少し小劇場をかじってたからこそ見える粗でもあります。
それに全部が全部そうじゃなく、美術がちゃんとしてなくても
キャストが多く出てたとしても、内容がしっかりしてるところもある。
その分、照明に力を入れているなどしているところも多い。
しかし、昨今の小劇場には、ん？って思う団体が多いと感じている。

だからこそ、今回の劇団６番シートさんは
然るべき値段だと思ったし、何も文句がない6500円だった。

そうなの、文句がなかったのよ…
まさにここが自分の問題だと思っている！

これね、小劇場を知ってるからこそ、この値段が妥当だと思っていて
これが小劇場を全く知らない人や
はじめて演劇に触れるって人が、この値段見た時
値段高っ！敷居高っ！って思うと思うの。

言いたくないが小劇場に出てる人で
テレビ・映画等で顔を見たことある有名人が出てることって
まぁ、珍しいし、ほぼない。
舞台を知らない人からしたら、こういう小劇場で活躍してる役者を
【素人】と思ってる人も多いと思う。
で、そんな【素人】がやってる舞台でこの値段⁉︎ってなってると思うし
実際自分も、この値段出すなら
5000円上乗せして、有名人が出てるところに行くなぁと思うことが多い。
さらにこの舞台が面白いかわからない状態で
この値段で？って、渋ってる人も多いと思う。
実際、今回の自分がそうだし…。

それに舞台が好きで見にいってる人
推しがいてその活動を見たいと思ってる人も高っ！って思ってると思う。
まぁ、舞台って高いもんだよねと思う人もいると思うけど
それって帝国劇場とか銀河劇場とか
いわゆる大劇場で行われる舞台に当てはまるものであって
小劇場ではその感覚ってなくていいと思ってる自分がいる。

とは言っても、値段の価値観って人それぞれだし
今回の舞台が4000円だとしても高いって思う人がいると思うし
チケットの値段に正解ってないのだが
やっぱり小劇場のチケット代は異常に高くなっていったなと。
この高騰はコロナ前から徐々に感じていて
コロナ後は急速に加速していったと思っている。

コロナを境に何かにつけて
値段が上がっていったのは知っている。
劇場費もそうだし、美術の材料費なんて顕著に上がったと思う。
自分自身、コロナ期に舞台をしたが
それ以降はやっていないのでここからは憶測だが
おそらく技術スタッフへの支払いも増えただろうし
出てくれている演者への支払いも増えているかもだろう。
諸々諸経費が全体的に上がっているものわかる。

舞台を興行するにはお金がかかるのはわかるが
にしても、値段上がりすぎじゃないか？と…。
これはお客さんには関係ない話だし
お客さんの賃金が上がっているわけではない。
ということは、お客さんだけ苦しんでる感じになってる。
なのにコロナに託けて一気にチケットの値段上げてもいいだろ的な
しょうがないだろ的な雰囲気を利用して値段をあげているように感じる。

だってコロナ期に、差し入れシステムや
演者・団体への応援支援など多数見られるようになった。
団体がそのシステムを導入したとて
支援してくれている方がいるかどうかはわからないが
少なくとも小劇場で興行を打つ人間たちには有難い環境になったと思う。

なのに、値段とる？とか
お客さんに強いすぎてない？とか
お客さんに乱暴的にお金払わせすぎじゃない？とか
どんだけお客さんを食い物にしてるの？と思っている自分がいる。

と、ここまで書いてはいるが
他の団体の経営状態に口出すつもりはない。
儲けてくれて大いに結構！
儲けないと次に興行が打てないのもわかる。
実際、自分たちがコロナ期にやった時
高らかに「金が欲しい！」と宣言してチケット代を上げた。
そして特典チケットを販売するにあたり
生配信で見てくれた人にどんな特典が欲しいかとか聞いて実際にやったし。

色々、試行錯誤してやった自分もいたけど…
にしても、今の小劇場の高騰は…荒い気がする。
だって特典だって、チケット代が高い割には
しょぼくない？ってのが多いし。
そんだけチケ代あげて、お客さんの還元もないし
聞いた話だとお客様のお気持ちも
役者に還元されてないところがあるという噂も聞く。

とまぁ、こんだけ文句をつらつら書いたが
今回チケット代が妥当だって思っている自分って
お客さんの目線には立ててない気がしたんです。
昔のことはそんな振り返りたくはないが
やっぱり小劇場って20年前は、チケット値段が1500円
2000円、高くて3000円がベースだったのよ。
いやいや、昔と今は物価の値段が違う！っていう人いると思うけど
大体、20年前と今とじゃ、上がったとしてもインフレ率はせいぜい20%。
で、20%はチケット代で言ったら3500円〜4000円ぐらいでしょ。
でも、今の小劇場は50%、倍ぐらい上がってる気がする。

ただ、フォローじゃないけど
昔の役者は基本チケットノルマだったが
昨今はちゃんと出演料を支払っているところが多いので
その分、団体の出費は多いと思うが…にしてもかなぁ。

で、自分がまた、興行を打つとなったら
これぐらいの値段取らんあかんのか？とも思ったし。
諸経費の上がりもきっとコロナ期より上がってるだろうから
もう自分が知ってる戦い方をしていたら
見に来てくれるお客さんに強いてしまう。
もしかしたら自分が今、嫌悪しているような事をせんとあかんのかなと。

それに僕は小林賢太郎さんの世界観が大好きで
よく舞台を観に連れて行ってもらってた。
で、その時の値段が銀河劇場で6000円。
あの小林賢太郎で6000円なのに、もし自分がやるときに
その値段を超えるって…震えがくるんよ。

だから、自分の居場所を作れる自信が今はない。
新たな闘い方が思い付かない限り
作り手もお客さんも幸せにならない、そんな気がしたし
いろんな人に見てもらうにはチケットの値段を少しでも
下げる努力をさせんとなぁと
本当に引き合いに出して申し訳ないけど
劇団６番シードさんを観て思った。

だって…お客さんの年齢層高かったもん。
多くの人に観てもらいたい団体だったからこそ
このままでは金持ってる人しか見れない
若い人には厳しいんじゃないかなと思ったから。
と言っても、娯楽は余裕のある人のもの。
金のない人は娯楽の世界から排除は当たり前なんだけど…でもなって。
役者を目指してる人は、この団体は見て欲しいなと。

とまぁ、なんやかんや文句言いまくりの記事になったけど
私は小劇場の世界を憂いております。
まぁ、そもそもアングラな世界なので
なくなろうが知ったこっちゃないと大体の人が思ってると思う。
だからこそ…抗って欲しいな。
そして自分も新しい闘い方を見つけたいなと…。

今は全く予定ないけど
いつか劇場に戻れる日が来るように考え続けたいと思う。

ちなみに…
特典がしょぼいといいましたがそれには理由がありまして…
何故なら僕らはとんでもなく特典をつけたから。
めちゃくちゃしんどかったけど、それぐらいせんとあかんと思ったの。
じゃないと、お客さんに申し訳ないと。

どんな特典をしたかはメンバーシップの方のみお見せします。
こちら！