見出し画像

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㊿「ほこ」「ほこのしつく」 <136号 令和6年12月>

 「ほこ=矛」といえば、イサナギ・イサナミの両神が治政の根幹に定めた大切な原理のひとつです。「と=斗」が「文治」にあるのに対し「ほこ=矛」は「武治」、つまり「文武両道」で治めることを両神は大切にされました。

 ここで、両神の「国造り」における場面の「ほこのしつく」と云う表現を考えてみたいと思います。

『フタカミは うきはしの上に さくり得る ほこのしつくの オノコロに 宮殿造り』2文

『へのヨロは 矛の滴と 水生れ草 昆布も海辺に 生れや喜ぶ』フ059

 2アヤの「うきはしの上で/ホコ/雫」の描写は日本神話では有名です。両神が長い矛の柄を握って地上界(水や霞のなか)をグルグルとかき混ぜている図柄は、よく描かれています。

 ホツマツタヱでのこの記述を、両神は「斗矛の原理(徳治と法治)」で国をまとめ上げた事蹟の(斗の教えを省略して)「矛で治めた」ことを強調していると観る解釈があります。

『斗矛もて さくるミホコの したたりか 凝り成るシマお オノコロと』ホ18

 という記述からも、ホコが「斗矛の代表名称」として使われている感じも致します。

 本誌連載の駒形氏ミカサフミ講座では、「ほこのしつく」を「(祝の滴)=成功の成果」と解釈されています。「ほこ」を「祝ぐ」の名詞形として観ているわけです。

 関連する用例で興味深いのは、

『舞女らに ひかけお襷 ちまきほこ』ホ7

 やはり日本神話で有名な天岩戸開きの場面です。この「チマキホコ」を駒形氏は

① 「ちまき(幸)」+「ほこ(祝)」

② 「ちまき(茅巻)」+「ほこ(矛)」の二重の意味ととらえて解釈されています。うなずけますね。

 武器である「矛」に「破邪・招福」の霊力を持つ「茅」を巻いて「争乱の終結」を表現したのでしょうか。

 筆者は、「ほこ」の根源を「男性性器」と観ています。「男性器=陽性=上昇力=優勢」の象徴です。その視点で解釈すれば「ほこのしつく」は「精液」となり、「精液=命の始点=和合の成果=歓喜」などの読み取りを引き出します。「ちんぽこ」の「ぽこ」も「ほこ」です。

 神社では、男性器が祭られている場合があります。奉納される石棒もまさに「ほこ」なのです。

(駒形一登「解読ガイド」参照)(つづく)

++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 「ホコ=矛」は、「ツルギ=剣」でもなく「ヤリ=槍」とも違います。「ホコ」には対義語があります。それは、「ホト」です。「ホコ」は陽性=男性であり、「ホト」は陰性=女性なのです。「ホト」と「ホコ」。陰陽原理ですね。
 イサナギ・イサナミが、「トホコ=斗矛で治む」と表現したのは、陰陽原理をバランス良くとって国家を治めたと伝えているのです。それは、表現を変えると、「斗の教え」つまり慈愛と徳政をひとつの柱にして、もうひとつの柱に「矛のノリ」つまり武断と法治を打ち立ててマツリゴトを行ったという意味です。
 「斗の教え」とは、「ト=仁愛・円満・万全」の教えであるとともに「ホト=母性原理・子宮・包容・愛育」の教えであるのです。
 日本神話に語られる「両神がウキハシの上で矛の滴」という場面の意味する真理はとても奥深いものがあります。
 アマテル大御神は、「斗矛」の原理を進化させ、「珠鏡剣」すなわち「ミクサタカラ」の原理へとしました。マツリゴトの要諦をさらに明示し、施政者の心得をより明確化したのです。ですが、陰陽原理の宣揚がなおざりとなりました。それ故に、譲位後は、ウヂの地において「イセの教え」を説き続けたのです。「イセ=伊勢=イモヲセ=男女の結びつき=陰陽原理」の大切さを語っていたのですね。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 話は変わりますが、年末年始と美味しいお酒を飲む機会が多くなりますね。でも、お酒が苦手な方もいらっしゃいます、、、


↑は、とらさん「推しチャンネル」のひとつ、『ミドリTV』です♡ 今回の配信も興味深いですが、過去動画も、日本古代史を見直す際に大変貴重な示唆に富んでいます。よろしかったらご覧下さい。


いいなと思ったら応援しよう!