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工夫次第で伝わり方が変わる?甲南女子大学と武蔵大学のプレスリリースに見る、ブラッシュアップのヒント
大学のプレスリリースを定期的にチェックしていると、取り上げる内容や掲載する情報にちょっとした工夫を感じるものがあります。プレスリリース自体、各大学でフォーマット化されていることが多いと思うのですが、もしかしたらブラッシュアップするヒントになるのかも?そんなことを思ったので、今回は興味深かったプレスリリースの使い方を2つほど紹介します。
メディアの記事をプレスリリースで伝える
1つ目はこちら、甲南女子大学のプレスリリースです。
このプレスリリースでは、甲南女子大学が運営しているオウンドメディア「シーソー」で取り上げた阪神・淡路大震災と関連する記事2本の紹介をしています。オウンドメディアの記事自体、伝えたいことを記事化して発信しているわけで、その記事をさらにプレスリリース化して配信するというのは、なんだかマトリョーシカ味があります。
とはいえ、シーソーのメインターゲットは、おそらく高校生と在学生。この記事を報道関係者に届けたいのであれば、プレスリリースなどにして報道関係者に届くメディアにのっけないと届きません。また、この記事を高校生や在学生に届けようとしていること自体を報道関係者に伝えたいのであれば、情報発信方法だけでなく情報という意味でもこのやり方が正解です。
シーソーがどういった効果を狙ってプレスリリースに記事をのせたのかは、リリースを見るだけではわかりませんが、こういった多重的な視点で見ると、プレスリリースの活用方法は広がるように思います。
ちなみにオウンドメディアの記事をプレスリリースで伝えるという手法は、甲南女子大学以外にもいくつかあります。たとえば、追手門大学はオウンドメディア「OTEMON VIEW」の記事を更新するたびにプレスリリースで配信。東洋大学はオウンドメディア「LINK @ TOYO」の記事を1年分まとめて年度末に配信しています。
甲南女子大学は特別な記事のみの配信でしたが、追手門学院大学は記事ごと、東洋大学は1年分まとめてと、やり方が少しずつ違うのが興味深いです。報道関係者にヒアリングしたり、アクセス状況を分析して、最適な記事のプレスリリース方法を見つけられると、けっこう知りたがる大学関係者はいるのかなという気がしました。
プロフィール代わりに公式SNSを載せる意味
もう一つ取り上げたいのは、こちら。またぜんぜん違う観点で面白かった武蔵大学のプレスリリースです。
このプレスリリースは、音楽プロデューサーである亀田誠治さんと武蔵大の学生たちが一緒になって音楽祭を開催したのをYouTube動画にして配信したという内容です。この取り組み自体も面白いのですが、個人的に目を引いたのはプレスリリースの最後にあるここです。
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亀田誠治さんの紹介として公式Xが、動画制作と司会を担当したたなしんさんの紹介として公式YouTubeが掲載されています。これってよくよく考えると不思議なんです。だって、亀田誠治さんにしろ、たなしんさんにしろ、その人のプロフィールを伝えるならテキストの方がわかりやすいし確実じゃないですか。なのに、あえてSNSへのリンクのみをつけているわけです。
この伝え方って、亀田誠治さんやたなしんさんにはSNSへの流入が見込めるという多少のメリットがあるものの、大学側にはこれといってありません。それどころか、SNSはプライベートな発言が出がちなうえ更新頻度も高いのに、大学側でグリップできるものではありません。どちらかというとリスクのある伝え方だと感じました。
ただし、SNSという比較的プライベートな意味合いの強い場で、お二人が今回プレスリリースした活動を積極的に発信してくれたら、プレスリリースでは伝えられないリアリティとあたたかみのある情報を届けられそうです。
大学側はお二人がSNSで発信してくれることがわかっていた(ないし予測できた)ので載せたのか、それとも少しでもお二人のメリットになることをしたくて載せたのか。そこらへんはわからないものの、どちらにしろ信頼関係があったからこそ、こういう伝え方を選んだのかなと思いました。
やや取り止めのない内容になってしまったものの、プレスリリースのこういった工夫を見つけると面白いなあと思います。プレスリリースの内容に集中して読むのが普通といえば普通ですが、たまには配信することの意味や伝え方、載せ方といった視点で見てみはいかがでしょう。私自身こういう見方も好きなので、また何か見つければ取り上げていくようにします!
▼他にもプレスリリースの使い方に関わるnoteをいくつか書いています▼