HPは999まで
1990年前後、いわゆる「ファミコン」がゲームの主流だった頃、ゲームにおける上限値というのは最大999というケースが珍しくありませんでした。
理由としては、容量の問題もあったのかもしれません。当時のROMカセットですと、概ね2MB~4MBくらい。後継機のスーパーファミコンで8M~32Mくらいです。
そうなると、データ容量は極力少なくした方がいい。あるいは削らざるを得なくなるような状況も多かったりします。今のゲームにあるような、HPやダメージを10,000とか100,000とか、そういうパラメータを作ってしまうと容量オーバーとなってしまうわけです。
114-27=87
この数字に特別な意味はありません。しかし、このような数の計算はある意味、特別なのかもしれません。
・HP114のキャラが、27のダメージを受けた
・MP76のキャラが、ある魔法を使ってMPを9消費した
・次のレベルUPまで必要な経験値は851。一回の戦闘で得られる経験値は概ね100前後。
残りのHPはどのくらいでしょうか?あるいは残りのMPはどのくらいでしょうか。次のレベルアップまでに必要な戦闘回数はどのくらいでしょうか。
あるいは、あと何回、同じ魔法が使えるでしょうか……。
上限値が999の場合、実際の算数の問題に出されるような計算と「数字の規模」が非常に似通っています。そのため、無意識のうちに計算をする習慣がつくわけです。
113,740+98,611+108,822+110,075…
1回の攻撃で10万を超えるようなダメージ。それも数回連続でヒット。
いわゆる「〇連コンボ」です。見ている分には非常に爽快で、レベルが上がれば上がるほど派手にダメージを与えるようになります。
最大値が999の場合、レベルが1上がったくらいではダメージが1か2くらいしか増えない。しかし最大値が100万を超える。あるいは無制限になった場合、レベルが1違うだけでもダメージが数千、あるいは数万違うケースも珍しくありません。
確かに数字の幅が大きいとレベルアップの感覚を味わいやすいともいえるかもしれません。しかし数字が大きすぎるともはや人間の頭では計算しきれない……。とりわけTVの大画面ではなくスマホの場合、画面が小さくて細かい数字を目で追うのは面倒だったりします。
そうなると計算をやらなくなる。そして、ゲームが新しくなればなるほど「自動機能」は増え、そのような計算をしなくてもゲームが進むよう工夫がされているわけです。そうなると、全く計算が出来なくてもゲーム自体が進められるようになってしまう……。
少ない数字でも
むろん、この時代の子供達の計算能力が、他の世代と比べて突出して高いかというと、必ずしもそうではありません。
しかし、それはゲームをやったかやらないかではなく、
ゲームとどう向き合っていたか?
ゲームが実際の勉強にも役立つと思い、プレーしていたのか。それとも何も考えずにプレーしていたのか……。
もちろん、今のゲームでもこういった活用法は可能です。しかし、最大値が少なかった昔のゲームの方が、子供にとっては「気づきやすい」ものであったのではないでしょうか?
ゲーム会社にはぜひ、こういった古いゲームの利点を活用して欲しいとは思っています。
……なんてことを言いだすのは私自身が年をとったからなのかもしれません(泣)