先崎学『うつ病九段』について
この本を初めて読んだのは、5年前に、仕事の過労や人間関係で疲れ、自分が病院で「抑うつ状態」と診断され、数か月経って回復し始めた頃である。読んだきっかけとしては、うつになるとどんなことになるのなよくわかっていなくて、実際に経験した人の体験記を読んでみたくなったことがある(この本にもある通り、診断された直後は本なんて読める状態ではなく、数か月経ってからようやく読めるようになった)。
5年の月日を経て再読しようと思ったきっかけとして、今年は心身ともに疲れていることが多く、もしかしたら再発し始めているのかなと不安に感じたからだ。今年は大きな仕事も任され、その辺のプレッシャーも感じつつ、加えて職場に、5年前に抑うつ状態になる原因となったストレス源の人が別の場所から異動してきて、正直しんどさを感じている。また、診断されて以降、薬の処方と近況の確認のために2か月に1回は通院していたのだが、ずっと担当してくれていた医師がいなくなって急に担当医師が変わっただけでなく、病院の対応もなんだか悪化したので、行かなくなってしまったのだ。通院する時は平日の午前中に仕事を休んで行っていたのだが、最後に行った時は10時過ぎに受け付けしても3時間以上待たされてもまだ医師に面会できず、せめて処方箋だけでも出してほしい、前の担当医師はそうしてくれていたとかけあってもにべもなく断られたので、嫌になって行かなくなった。仕方なく、風邪を引いた時にお世話になっている病院で別の薬を処方してもらっている。もともと、いつまで通院すればいいのか分からなかったので、いつかは通院せずに生活したいと思っていたのだが、あくまで自己判断で通院をやめたので、これが吉と出るか凶と出るかは正直分からない。
再読すると、5年前のことが思い出されてきた。自分も著者と同じく、朝が本当にしんどかったなとか、活字が全然読めなかったなとか、散歩しまくってたなとか、同じような体験をした。1つ違うのは、自分には自殺のイメージがさほどなかったので、著者ほど重度ではなかったのかもしれない。ただし、これも著者ほどではなかったかもしれないが、自分も自分なりにそれまでにかなり詰め込んだハードワークをしてきたので、脳が悲鳴をあげたんだろうなと思う。
今では、自分のエネルギーが底をつきかけてるなという時はなんとなく自分で分かる。しかし、5年前はそれが自分で認識できなかった。また、休んだり、何もせずに空白の時間を過ごしたりするというの大切さも、以前より理解しているつもりだ。結局は、この経験を活かして、自分なりに調整しながら生活するのが大切なんだろうなと思う。
5年前に比べると、子どもが生まれて、守るべきものが増えた。余計に再発するのが怖くなった。自分の状態を自分でよく確認して、休むべきときにしっかり休んだり、時には逃げたりすることも必要かなと考えている。
ただし、最近思うのは、あまり守りに入りすぎるとかえって良くないかもしれないということだ(何が良くないのかもよく分からんのだが)。例えば、仕事から早く帰って休みたいからといって、定時までにめちゃくちゃ優先順位を考えて詰め込みすぎると、かえって疲れることがある。また、休みだからといって寝まくっているとかえってしんどくて、やっぱり適度に外出したり運動したりする方が健康的だと感じることもある。これは最近気づいたことなので、今後意識したいと思う。
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