Episode 722 それは"THE"ではないのです。
フリーエージェントになった大谷翔平選手の移籍が話題の中心だった、今年のMLBの「ウィンターミーティング」…その結果、大谷選手は同じロサンゼルスを本拠地にするエンジェルスからドジャースへの移籍が大々的に報じられたのでした。
「大型移籍でどの球団とどんな合意に至るのか、その条件は」…など、彼の移籍は本人のパフォーマンスと合わせて経済的効果も高いワケで、その関心の高さは野球ファンに限定されるものではなかったことでしょう。
現に移籍が決まったドジャースの公式グッズを扱うショップには、既に彼の名前と背番号が入ったグッズが投入され、出だしから売上げ好調なのだそうで…。
ドジャースでの背番号はエンゼルス時代と同じ「17」ですが、チームカラーは赤から青へと変わるので、その見た目の印象もまたガラリと変わるように思います。
野球などではチームのユニフォーム姿よりも背番号への愛着があるように思います。
例えば、イチロー選手の「51」がその代表格でしょうか。
特に野球などのプロスポーツの場合は「永久欠番」などという制度のある競技もあるワケで、公式に欠番指定されていなくても、恐れ多くて手が出せない番号なんてのもあります。
前出のイチロー選手の「51」は、NPBではオリックス、MLBではマリナーズで、イチロー選手の後にその番号を着けた人はいないそうです。
その一方で、背番号に大きな意味(こだわり)はない…と大谷選手は言います。
ネット記事を探れば、彼が花巻東高校時代に最初に着けた番号が「17」だったから…などというものもありますが、大谷選手からそのハナシが明言されたワケではないようです。
それとは別に、背番号とかユニフォームとか、本人が拘りを持つか持たないかは別にして、それを見ている私たちが選手に大きな期待を持つシンボルになるように思うことがあります。
そうですね…ここもイチロー選手を見る私のイメージでお話をすれば、マリナーズと契約したイチロー選手が、その濃紺のマリナーズのユニフォーム姿で「レーザービーム」でアメリカ中を驚かせた2001年シーズンに見せつけた背番号「51」のインパクトは強烈だったワケです。
2012年シーズンにヤンキースに移籍したイチローの背番号は「31」。
(ヤンキースの「51」はかつてバーニー・ウィリアムスが付けていた番号で、後に永久欠番に指定されている。)
ピンストライプのユニフォームになったとは言え、チームカラーの濃紺は同じ…背番号の違和感は多少あったものの、私はさほど気にならなかったように記憶しています。
その後、2015年シーズンからマーリンズに移籍したイチロー選手の背番号は「51」に戻るものの、濃紺ではないカラーに違和感を感じたのは、私だけ…ではないように思います。
何かね、どちらかと言うと、背番号よりもカラーなんだよね…とか思うのですよ。
背番号「51」のイチロー選手…と言うよりは、紺色のイチロー選手のイメージが強いんだな…とか。
それは偶然であったのかも知れないけれど、オリックスの頃からずっと持ち続けてきた Blue/Navy への慣れであったようにも思います。
ただね…背番号にしても、イメージにしても、それは私のイチロー選手に感じる「勝手なイメージ」のハナシなのですよ。
先日 X で拝見したこの sopueltno(@fake_outlandos) さんのポスト。
なんか…すごく考えさせられたのですよね。
🅐 は、ユニフォームのカラーや背番号から思う、イチロー選手への私の「勝手な」イメージです。
一方の 🅑 は、どんな色のユニフォームであっても、背番号が何番でも関係ない、そのプレーから感じる強肩巧打であるイチロー選手のイメージです。
私は以前、専門用語がイメージを固定してしまうことについての危険性を記事にしたことがあります。
こんな記事を書いて尚、sopueltno さんのポストに「ハッ!」としてしまう私が居ます。
不定冠詞 "a[an]" と、定冠詞 "the" の違いがイメージし難い「日本人の感覚」みたいなもの…でしょうかね。
優秀な外野手(Outfielder) としてのイチロー選手は、"The ICHIRO" であって、"The Outfielder" ではないのね。
つまり 🅐 は、"The ADHD (ASD)" という感覚であり、
一方の 🅑 は、"I have ( You have ) ADHD (ASD)" ということなのでしょう。
発達障害の診断名でその人を推し測る感覚は、発達障害の「スペクトラム性」からとても危険な発想なのだと私は思います。
ただ…それを理解しながらも、その見掛けから本人のイメージを推し測ることを、私も普通にしているのは事実なのですよね。
その感覚は、恐らく誰もが持ち合わせているものなのだと思います。
肘の故障からの手術で、来季の大谷選手は…恐らく投手としての出場はほぼないでしょう。
二刀流の大谷選手のイメージを決定付けた、エンジェルスの赤いユニフォームからのドジャー・ブルーへの変化で、私がイチロー選手の時に感じた外からのイメージでの違和感を、ここで感じることがないようにしたいものです。
2024年シーズンの大谷選手を見て、イチロー選手の移籍で感じた違和感のようなものがないように…。
あれからザッと10年の月日が過ぎ、私の感覚にも「それなりの進歩があった」と感じられると良いな…などと思うのです。