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Episode 796 言葉を尽くして語るのです。

今月8日 (2024/12/8) に、私が主催する発達障害者自助グループ「@HOTASの会」の定例茶話会がありました。
毎月一回、新潟市で開催している茶話会も、今回の開催で69回を数えます。
地味に地道に運営できているのは、先日のnote記事「『範囲の限定』は重要です。」でもお話しした通り、できる範囲を限定してアウトリーチしない運営方針が功を奏したからだ…と思っています。

通常、定例茶話会の内容について note記事を書くことはないのですが、今回は「会で話した内容で思うところ」があって、ちょっと記事にしてみようと思ったのです。
話題の内容は「発達障害についての服薬」…でした。

私はその昔、AS”D"の二次障害でうつ症状があったころは、抗うつ剤の処方を受けいていたこともありましたが、うつ症状が寛解した現在、精神疾患の関係する薬を服用していません。
この自助会を始めた時にはすでに寛解していましたから、もう5年以上、薬を服用していない…ということになります。
これは「精神的に安定している」ということの証明でもあるワケで、とてもあり難いことだと思っています。

そんなワケで、主催者である私が「薬に頼っていない」都合、茶話会で「服薬」が話題のなることが少なかったのだろう…と思います。

ただ、「発達障害(神経発達症) 者の社会生活」という問題なった時に、どうしても服薬が必要な方もいらっしゃるワケです。
現実問題として、茶話会の参加者の半数以上は「何らかの薬を服用している」と答えていたワケでして。

私は医師ではありませんから、薬の処方は出来ません。
さらに、薬の服用による効果や副作用の濃淡も個人差が大きいので、そのような情報を医師や医療従事者がいないような当事者茶話会で話題にして良いものか…という思いもありました。
でも、実際に参加された方は「薬のハナシが聞けて良かった」というのですよ。

ここ数日、「これはどういうことかな…?」と考えていたのですが、ようやく自分なりの納得いく答えに辿り着いたように感じます。
それは、自分の「薬の服用感」を如何に言語化するのかが、とても大切だったのではないか…ということです。

何度も言いますが、私は医師でも医療従事者でもありません。
ですから、医療に関係することは「想像」の部分があることは否めないのですが、ウイルスや細菌性の病気や、生活習慣病・ガンなどの治療、打撲や骨折といった外傷に対する治療…などと、精神疾患に関する治療は、根本的に違うモノだと思っています。
要するに「医師の肉眼で原因が特定できて、その特定された原因に対策が打てるのか、否か…という差があるのか」という点で差があると思っているのです。

精神疾患は、恐らく医師の肉眼で原因が特定できない…とした時に、医師はどうやって精神疾患を診断するのでしょうね。
発達障害の場合、WAIS などに代表される心理検査の結果が用いられることが多いのでしょうが、多くの専門の先生が言われるように「参考にするが、断定の決め手には、必ずしもならない」ワケです。
やはり、診断の決め手になるのは「問診」がメインなのでしょう…ね。

それでは、私の場合です。
埋め込んだ 𝕏 のポストの通り、私が苦しい時に、主治医に詳しく自分の状況を説明できていたか…と問えば、恐らく No です。
ましてや私自身が疲弊していた時のハナシですから、冷静に自分自身を説明できるような状況ではなかった…とも思います。
先生はその「数少ない手がかり」から、可能な限り正確な診断をしなければならない…と思います。
そうやって、何度となく問診と対話を繰り返して、状況をより正確に把握していくのが、精神医療の分野なのでしょう…多分。

私は二次障害のウツ症状が寛解した後、投薬による治療は行っていないのですが、二次障害が寛解した後も服薬を続ける人はたくさんいるワケですね。
特にADH”D"傾向のある方は、現代社会に合わせた日常生活を送る上で、必要に迫られて服薬している方も多くいて…ですね。

その服薬感を医師に伝えることは、とても大切なのだろう…と今回、ふと思ったのですよ。
誰かの「服薬の効果と副作用」を聴くのは、その薬がどんなものでどんな効果があるのか…ということの説明を受けるというよりは、良いも悪いも「飲んでみた感想」の、その表現を聞き取ることに意味があるのではないか…と。
そして、自分の「飲んでみた感想」を、自分の言葉にして誰かに伝えるということは、きっと医師との問診と対話に活かされるのだろう…と。

私は、今の精神医療を取り巻く仕組みや環境に言及できるような立場ではありません。
私に出来ることは、自助グループの茶話会活動を地味に地道に開催し続けることです。

そして、今回、その自助会の目的のひとつに…

言葉を尽くすこと。

…があるように思えたのです。

私自身について、とにかく可能な限りの言葉を尽くして語ること。
それは自己理解につながり、結果として医師や支援者から社会へと繋がる扉になるように思ったのです。

今回も、実りの多い茶話会でした。
こんな発見が「やっていてよかった」というモチベーションに繋がったりもするのです…自己満足ですけどね。

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