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Episode 803 そこに「キッカケ」があるのです。

月一回ずつ不定期で連載している「Autistic(自閉の民) 的『葬送のフリーレン』深読み企画」、年末から年始にかけての私用ドタバタに紛れて、1月分の掲載がまだされてませんでした。
去年の2月に始めたこの企画、毎月単行本を1冊ずつ読み込み、コレと思うトピックを、登場人物をAutistic と仮定して行動/思考分析をしてみたり、Autistic の自分視点からその場面をどのように見るかを論じてみたり…。

何れにしても今回、月末最終週でギリギリの滑り込みでも、1月中の記事掲載ができてよかった…と思っています。
ルーティンワークを好むタイプの Autistic である私ですからね、月一回と言う「決めごと」が守れなかったタイミングでヤル気を失っていたことでしょう。

前置きのハナシが長くなってしまいましたが、とりあえずこの1月は「その12回目」という事で、読み込む単行本は、第12巻ということになります。

例によって、第12巻のザックリとしたあらすじですが…。
北部高原の北の端、キーノ峠近くにある「女神の石碑」に触れたフリーレンは、80年の時空を超えて過去の世界へと迷い込み、在りし日のヒンメルが率いる「勇者一行」に出会う、そして…といったところでしょうかね。

毎度同じことを書くのですが、私はこのnote記事で、物語の詳細を語る気はありません。
ストーリーが気になったのなら、ぜひ本を買って読んでいただきたい…と思っています。

さて、そんな第12巻からピックアップする話題はこちら。

私は
私の過ごした時間に戻りたいんだよ。

廃墟の村の村長の家で、フリーレンの言葉

フリーレンの世界観でも、時空超越 (タイムトラベル) を扱う他の物語…『バック・トゥ・ザ・フューチャー (Back to the Future)』や『不適切にもほどがある!』などと同じように、未来を知るものが未来を予言することは御法度とされるのですが、フリーレンの場合はちょっとだけ特殊です。
それは、時空超越をしても、主人公であるフリーレンが歳をとることがない…という事実です。
正確に言えば、ちょっと違いますかね。
フリーレンも他の人物と同じように歳をとるのですけど、長生きしても精々100年程度が限界の人間と違い、フリーレンは1,000年以上も若さを保つエルフなのですよね。
80年もの時間が巻き戻ってみたところで、フリーレンの見た目は、全く変わらないワケです。

勇者ヒンメル。
物語の冒頭…単行本の第1巻で語られる通り、フリーレンは、そのヒンメルの死をもって人を知ろうとしなかった自分への後悔を感じて涙し、それゆえに人を知るための旅に出るワケです。

時空を超えて過去にタイムスリップしたフリーレンは、偶然とは言え、その大切な人との再会を果たすワケです。
それは、物語の冒頭で描かれた、魔王討伐から50年経ったタイミングでフリーレンと再会した「年老いたヒンメル」とは、違うのです。
選ぼうと思えば、魔王討伐に向かうヒンメルたち勇者一行と旅をすることもできたかもしれません。
在りし日のヒンメルを間近に見つめることで、「人とは」を考えることができたかもしれません。

でも、フリーレンは、それを望まなかった。
フリーレンは、在りし日の勇者一行に、こう言うのです。

私はこれでもこの旅が終わってから沢山のことを学んだよ。
新しく大切なものも沢山できた。
それを失ってしまうのは流石に嫌かな。

廃墟の村の村長の家で、フリーレンの言葉

フリーレンにとって、ヒンメルたち勇者一行での魔王討伐は、その全行程がキッカケだったのでしょう。
そして、それはあくまでも「キッカケ」に過ぎなかった…。
そのキッカケから得たものが、フリーレンの実生活に潤いをもたらしているとすれば…?

私はこのアカウントの記事で、発達障害者の自助会について話題にするのですが、私は自助会とは「キッカケ作り/気付きを得る場所」であって、居場所ではないという意見です。

繰り返しになりますが、私は「自助会にコミュニティの要素を持ち込まない」ことが大切である…と、思っています。

note記事「距離が近いは危険です。」より

キッカケというのは、それが意図的か否かに関係なく、そこから新たな思考/行動をするための気付きを得るポイントということだと思います。
自助会というのは、自分たちの意思でそのキッカケを見つけようと参加する場所…ということ。
だから「気付き」は持ち帰らないとならないワケです。

何が言いたいのか言えば、気付きを得た場所を、現在の居場所としてはいけないのだろう…ということ。
「気付きを得た」とは、刺激を受けたことを理解している…ということなのだと思います。
その結果として、私はどうするのか、どうしたいのかを考えて行動する…という能動性が生まれるのでしょう。
私が進化するために必要なものは、私の居場所に気付きを持ち帰って行動するチカラです。

フリーレンにとって、ヒンメル達と過ごした勇者一行での出来事は、その後のフリーレンの進化に必要なキッカケだった…とした時、フリーレンが「ここではない未来に帰りたい」理由と、その過去との関係に「自助会での発見」と同じ効果を、私は感じるのです。


このアカウントのnoteで扱った「フリーレン考察」のバックナンバーは、このマガジンに収めてあります。
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