Episode 514 想像力が大事です。
東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の「女性蔑視発言」は、会長職責者の辞任に伴うトップ交代という大問題に発展した…というのは皆さんも知るところだと思います。
私はこのnote記事で、問題発言をした当人を非難するつもりはありません…ここで政治や社会情勢に係る問題を扱うつもりはありませんから。
では、なんでこの話を持ち出したのか…と言えば、「人の振り見て我が振り直せ」…つまり、反面教師の話をしたいからです。
だから、問題の発言に絡むアレやコレや…を、詳しく書くつもりもありません…ただ、発言者の「感覚」は極端に古く、今の社会的常識では通らない思想に基づいて言葉が発せられたのは疑いようのないものなのだろう…と、私は思います。
更には「発言の撤回」についても、「ことの重大さに気づいてお詫び申し上げる」ではなく、「私の考えは変わらないけれど、世間がダメだと言うから撤回して謝っておく」と言う言外のニュアンスが世間の怒りを買い、火に油を注ぐことになった…と言うのか大凡の見方などだろうと、私は感じているのです。
この構造は北関東を弄ることでブレイクした漫才コンビ「U字工事」の鉄板ネタ、「ごめんねごめんね~!」からの「ちゃんと謝れ!」と同じです。
私は、この一連の出来事を「過去のわが身」として、苦々しく見ている…と、いうことです。
ここ最近のnote記事で指摘している通り、私は「ASDの受動傾向とは、あなたとの意見と私の意見の調整が難しいから、調整の必要がない社会的常識を私の意見として代わりに立てることで、社会生活を送る基盤を作り上げる『ライフハック』によってできるもの」、と考えています。
社会的常識は世間一般で認められた「行動規範」になり得るものですから、これを後ろ盾にして話せば常識的には正論で、間違いがないもの…というワケです。
但し、これは私が思う社会的常識が世間一般でも通用する場合に限る話なのです。
だから、このライフハックを使い続ける為には、社会の「進歩」に合わせて「私の社会的常識」もアップデートされなければならないのですよ。
アップデートされた社会的常識を後ろ盾にした「正論パンチ」は強烈です。
なまじ正論であるが故に、あなたの意見を聞き入れない理由になり得てしまう…ということです。
「あなたの言うことはいつも正しい…でも。」この言葉を何回パートナーに言わせたことでしょう。
ところが、今回の「女性蔑視発言」というケースは、そうではないのですよ。
社会的常識のアップデートがなされていない場合、私の正論は時代錯誤の古臭い価値観を基準に語られることになるワケです。
前回の記事で書いた「トンチンカン」は、あなたのボケに対して正論パンチを繰り出す…って話だったのですが、今回はその逆、「私の正論」が的外れ…ってことなのです。
「ASD的な正論」がアップデートされない…ということについては、また次回の話題とするにして…。
アップデートできていない理論に基づいた「私の意見」が、世論の集中砲火を浴びて「弾劾」される姿を、後ろ盾を失って墜ちるところまで落ちて「もうダメだ、持ちこたえられない…」と思う自分自身の姿に重ねられるのか…は、ASDの自覚する瞬間に通じるところがある、と私は思っています。
弾劾されて失職して、なお開き直って自分の実績を誇示するのか。
世論の集中砲火を浴びて、自分の良くない部分を真摯に見つめなおすことができるのか。
あの「辞任劇」を見て、わが身を振り返ることが可能か、その想像力があるのか。
私は今回の「事件」の報道を、そんな視点で見ているのです。
ASDの自覚に関して、イソップ寓話「北風と太陽」を題材にして書いたマガジンも、あわせてどうぞ。