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第45回イベントレポート『水なき沢に、明日への架け橋を!』
2022年8月11日、山の日。
最高気温が37℃の猛暑日との予報でしたが、一歩森に足を踏み入れると心地良い風が出迎えてくれて、山の日の山を、終日気持ち良く手入れすることが出来ました。
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樹々の葉が精いっぱい生い茂るのは、夏の強い陽射しから林床を守り、生きものたちが生きやすい気温を保つためなのではあるまいか?、、そんなことを考えてしまいます。
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今回はお子さま2人を含め、総勢9人で沢近くの斜面の手入れを行いました。
山肌の整備が、海の底に繋がる
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午前中は沢の支流周りを整備する予定です。
本流から支流に入る所で大きなカタツムリを発見!。でんでん虫ともいいますが昆虫ではありません。
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斜面を登る時には順番に、足がかりを切り、炭を入れ、枝葉を置きながら一歩いっぽを丁寧に登ります。
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一段高い所まで登りました。
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倒木がそのままになっていて藪化しそうになっている所もあります。
倒れている木は、雨の時に水の道を作りやすいので、等高線上に置き直し、散乱した枝などと絡ませながら、しがらみを造作して表土の流出を防ぎます。
余談になりますが、私は先日、瀬戸内海の祝島でヒジキを獲っている漁師の方と親しくなり、『海の砂漠化』について、こんな話しを聞きました。
〝陸地と海は繋がっています。森林伐採と単一樹木の植林によって森は保水力を失い、土砂や有機物は土中で浄化されずに海へ流亡し、さらに海底に堆積した有機物は嫌気性分解され、硫化水素やメタンを発生させているともいわれています。水に溶けた硫化水素は海を酸性化し、このことも海藻はじめ海の生態系を壊している原因といわれています。水温上昇によって活発化する嫌気性分解は、海の酸性化だけでなくメタンの発生を通してさらに温暖化に拍車をかけています、、、、〟
つまり、降った雨をちゃんと山が受け止めて、表土を有機物とともに流出させずに水を土中へ浸み込ませれば、その分だけ海の健全さも守ることになる、、、。今つくっている足がかりやしがらみの一つひとつが、海の底に繋がっているのを今までよりもハッキリと脳裏に感じながら、私は作業を進めました。
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未だ途中ですが、無理をせず、午前中はここまでとしました。
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いったん下山です。
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ランチタイム♪
お昼ごはんは、もののけ広場に戻っていただきました。
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木陰を渡る風にいやされます。
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今日は『森の縁側 ゆるりと』の女店主オガちゃんが、ボルネオ島の森林珈琲を差し入れに駆けつけてくれました!
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〝恩方の森にホタルを飛ばすために、オランウータンの棲むボルネオの熱帯雨林を守らなければならない〟という、私のブッ飛んだ主張に共感してくれたオガちゃんが、調べに調べまくり、やっと手に入れたボルネオ島の希少な豆です。まず一番に、ホタルの会の会員の方々に飲んで欲しくて持って来た!、との言葉に感激です。
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初めて飲む味です。あまりの美味しさに、美味しいという以外の言葉がみつかりません。
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ご馳走様でした!
水の無い沢に、橋を架ける
午後から再び沢に入りました。
と、途中で今まで見たこともない綺麗なチョウを発見!
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アオバセセリです。
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山地の林縁部や渓流沿いで見られるチョウですが、この森では初めて見かけました。
枯れ沢復活の兆しのようで、とても嬉しい発見でした。
この日は他にも、沢の周りでは様々な生きものたちと触れ合うことが出来ました。
カタツムリもミミズもとても大きくて、参加者の方々の人気者になりました。ちなみにミミズも、昆虫ではありません。
またまた余談ですが、チャールズ・ダーウィンによると、ミミズにも知性と心があるそうです。私は個人的にダーウィンの進化論は好きではないのですが、ミミズの研究をライフワークにしてたことを最近になって知りました。〝適者生存〟とかの競争原理で、強い者が生き残って弱い者は滅ぼされるという考え方は、現代の資本主義経済の世界を作るために利用され洗脳され、ダーウィンの意に反して、その考え方だけが一人歩きしているのではないかと感じました。
ちなみに私は、今西錦司の進化論の考え方が好きです。あらゆる生きものは譲り合い助け合い、競い合って強くなり、戦わずに棲み分け、時が来たら変わるべくして変わる、、、。今、もう一度、あらためて、今西進化論を勉強し直す時期が来ているのかなとも思います。
すみません、話がだいぶ脱線しました、作業に戻ります。
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蛇崩れしてできた沢に散乱した枝を片付けます。
両脇の斜面は急で、登り降りは大変なので、手分けして集めた枝をなるべく動き回らずに手渡しで運びます。動きまわらないことは、斜面の山肌を守ることにもなります。
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いよいよ支流を渡す架け橋の準備。
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橋桁を置く座を切り、
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杭を打ち、
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渡り心地をチェックしながら、
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新たなエリアへの橋が架かりました。
〝転ばぬ先の杖〟ならぬ、流れる前の橋です。
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この支流に水が流れる日が楽しみです。
一日のふりかえり
作業を終えて一日を振り返り、今日の感想を分かち合いました。
参加された方々の声
♡ オガちゃん
「この森を皆んながお手入れしていて、そこで一息入れるための珈琲が出せたらな、と、いつも思っているので、今日ここへ来られて凄く嬉しいです。皆さんに飲んで頂けて大満足、いい山の日になりました。有難うございました」
♡ がんちゃん
「朝とっても眠くて、体力がもつかどうか分かんなかったんですが、森ってスゴいですね!、山に入って少し涼しいな、気持ちいいなーって思って、いったん体を動かし始めたらドンドン体力が増して元気になってきて、早くお弁当を食べたいなという気持ちになりながら作業させて貰い、とっても楽しかったです。今日の珈琲は初めて飲んだ味の珈琲だったので、すごく嬉しいというか、明日も飲みたいなーという状態です」
♡ あらちゃん
「今日は体力に自信がないのに来たんですが、最初に今日は午前中だけで帰ります、と伝えたのに全然帰る気がしなくなりまして、最後までいてしまいました。前回はオランウータンの会の仲間と一緒に参加したのですが、今日は知っている人が誰もいなかったので色んな人に接することができてとても良かったなと思います。皆さん個性豊かで親切なので、これからも宜しくお願いします」
♡ いおりん
「朝ちょっと夏バテ気味だったんですが、作業しているうちに美味しい空気とか色々で、どんどん元気になって、子どもたちと一緒に作業させて貰って楽しかったです。また来たいと思うので宜しくお願いします」
♡ メグミルク
「久しぶりに来たのでいつもより虫が怖くて、最初は滅っちゃ恐れていたんですけど、なんかどーでもよくなって、ミミズ見るのもちょっと慣れた気がします、触るのはムリだけど、ゼッタイに。今日は私はそんなに仕事しなくて橋を渡したぐらいでしたが、楽しみました」
♡ ジョー
「楽しかったァ!!」
♡ てっちゃん
「皆んな朝は、眠たいー!、やりたくないー!みたいな、そんな雰囲気の中だったんですが、森に入って土をいじったりだとか森の空気を吸ったりだとか、汗を掻いたり風を感じたりしたことで皆んなが元気になっていく、っていうのが新しい発見でした。最後は皆んな目がギラギラしてるくらいだったんで楽しかったです。また是非いっしょにやりましょう!」
♡ マリー
「私も眠かったんですが、朝の挨拶を終えてからいきなりスウィッチが入った感じで、なんか、あれ?、やりたくなって来たな、ってなりました。今日は初めて沢に入らずにしがらみをつくったり橋を作ってみたりとか、土の方を中心にした作業だったんですけど、それもやってみたら意外に楽しいな!、って発見があって良かったです。あと、何よりも、大好きな虫たちと戯れることができたことと、大きなミミズと遊べたとか、変わった蝶の写真を撮れたのも今日の収穫でした」
♡ あっちゃん
「私も皆さんと同じで眠かったんですけど、なんか〝風が流れると、水が流れる〟っていう経験を前回していて、アオキを切りながら風が強く流れると、あっ、これで水が流れるんだな、というのを感じながら水を感じていました。心地よい疲れで、今日はゆっくり眠れそうです」
主催者ふりかえり
「進行の部分で至らぬ点ばかりで、結局終日大変な作業になってしまって心苦しく思ったが、これに懲りずにまた来て欲しいです。それでも今日は風があって、吹いてくる風が気持ちよくて、都会のコンクリートジャングルの中に居たら大変なことになってたんじゃないかと思うので、森の中では思いのほか気持ちよく作業ができて良かったと思う。そして何より、ボルネオの珈琲がスッゲェ美味しいというのを知ることができたのは嬉しい大発見でした」
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参加していただいた皆さま、本当に一日お楽しみ様でした。
ホタルさん、そして活動に興味を持たれた方は、是非一度、森に来てくださいネ!!
今後の活動予定
今年7月から来年6月までは、ホタルの会の新年度になります。
年度内で最初に参加する際に、年会費(または単日参加日)をお納め下さいますよう、お願い致します。
◎ 現時点で決まっている今後の予定は、
8/26(金)
9/13(火)
9/24(土)
です。
10月以降の予定は決まり次第お伝えしますが、ご希望する日時・曜日等ございましたら、どうぞ気軽にご連絡ください。
一人でも多くの方のご参加を心よりお待ちしております。
協力感謝
『枯れ沢復活&ホタルを飛ばす会』は、任意団体です。
公益社団法人 国土緑化推進機構の支援を受け、緑の募金事業として活動して参ります。
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さらに、2021年4月からは一般財団法人セブンーイレブン記念財団様の〝環境市民活動助成〟の助成を受け、活動を推進していくことになりました。
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ありがとうございます。