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子供だけにSNSを禁止しても大人が襟を正さないとどうしようもありません
昔、田村正和さんが主演されていたドラマ「うちの子にかぎって…」で、とても印象的なシーンがありました。それは、子供たちが学習の一環として学級新聞を作っていく中で、内容が次第に過激化し、写真週刊誌のような体裁になっていくというものでした。
最終的には、田村正和さん演じる担任の先生の命令で制作が中止されるのですが、子供たちは「大人が同じようなことをしているのに、どうして私たちだけダメなのか」と反論し、大人たちの矛盾を突きつけるのです。
このドラマを見たのは随分前のことですが、このシーンは今でも私の心に深く残っています。なぜなら、この子供たちの行動は、大人たちの社会に対する鋭い批判であり、同時に、子供たち自身が社会の問題意識を持っていることを示しているからです。
最近、オーストラリアで16歳以下のSNS利用を規制する法案が成立したというニュースを見ました。しかし、この種の規制は、結局のところ、弊害を減らすどころか、かえって新たな問題を生み出す可能性が高いのではないかと感じています。
16歳ともなれば、大人と同じように様々な思考を持ち、自ら判断し行動する能力も備わっています。そのような彼らを一律に規制することは、彼らの成長を妨げるだけでなく、かえって彼らの反発を招き、より深刻な問題を引き起こす可能性も考えられます。
歴史を振り返ってみても、禁酒法が施行されたアメリカの例が示すように、禁止すればするほど、かえって抜け道が生まれ、新たな問題が発生するものです。SNSに関しても同様で、子供たちだけに利用を禁止しても、大人たちが裏で利用している現状を考えると、根本的な解決にはなりません。
むしろ、大切なのは、子供たちにメディアリテラシーをしっかりと教育することです。SNSのメリットとデメリットを正しく理解し、情報を見極める力を養うことで、子供たちは自ら考え、判断できるようになるはずです。
SNSの問題は、子供たちだけの問題ではありません。大人もまた、SNSの利用に際しては、責任ある行動をとる必要があります。子供たちを非難する前に、まずは自分たちの行動を振り返り、改善すべき点はないか考えてみるべきでしょう。
「うちの子にかぎって…」というドラマの子供たちは、大人たちの社会に対する矛盾を鋭く指摘していました。私たちは、彼らの声に耳を傾け、より良い社会を築いていくために何ができるのか、真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。