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【チェス】王道の古典定跡を識る-17-

KIDの基本形の変化について。<テーマ図>は6手目黒e5までの盤面である。

<テーマ図>

クラシカルバリエーションにおいて、7手目白O-Oと指すのが一般的な応手ではあるが、白はここで先にd5と指すペトロシアンバリエーションを選択することが可能である。

ペトロシアンバリエーション

この変化では、黒のNc6を牽制することができ、黒のナイトの絶好の展開先であるe7のマスへ配置させないようにしている。また、将来的に白はBg5と指すことによってf6のナイトをピンし、間接的にe4のポーンをサポートする狙いも含まれている。

ペトロシアンバリエーションになった場合、黒の有効な応手として、Na6が考えられる。次のNc5を準備し、e4のポーンを狙う一手である。しかし、間髪入れずにNa6と指してしまうと、白Bg5、黒Nc5、白b4と進行して、ナイトに攻撃が当たるため、c5へナイトを進めることができない。

そのため、7手目黒は先にa5と指すことで、白のb4の手を牽制しておくことが必要である。白は予定通りBg5とf6のナイトをピンする手に対して、黒h6、白Bh4、黒Na6と続く。ここではじめて狙っていたNa6が指せるようになるわけである。

黒はクイーンをピンされている斜線から外し、弱点であるe4のポーンを狙う。これに対抗して白はNd2と指してe4のポーンをサポートしつつ将来的にa3、b4と指してaファイルをオープンにすることを目指す。これは、黒のルークが連結していないことを利用してaファイルを先に制圧しようという考えに基づくものである。

黒は予定通りQe8と指して、次にNh7とナイトを戻してfファイルを開くことを狙う。


ここまでの記事で、KIDのクラシカルバリエーション(5手目白Nf3)と指す応手の変化についてみてきた。

次回の記事では、KIDの別の変化として、5手目に白f3と指すゼ―ミッシュバリエーションを考えてみたい。

それではまた次回の記事で。

            ―B.―

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