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【チェス】王道の古典定跡を識る-7-
古典定跡の研究として、「シシリアン・ディフェンス」のオープンシシリアンの変化をみていた。今回の記事では、オープンシシリアンの形から、5手目黒Nc6と指すクラシカルバリエーションについて考えてみたい。
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クラシカルバリエーションは、狙いの分かりやすい合理的な応手であり、手順前後で同じ盤面になることも多い。Nc6の狙いは明確で、白の中央の圧力を緩和し、d4のナイトを攻撃している。
これに対する白の応手としては、リヒターラウザーアタックが一般的に指される傾向にある。リヒターラウザーアタックは、6手目白Bg5とビショップで黒のf6のナイトを攻撃する手である。
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リヒターラウザーアタックの一番のポイントは、次の黒の応手がe6に固定されるという点にある。なぜ黒は次にe6と指さざるを得ないのかというと、仮にe6以外の手を黒が指した場合、黒はダブルポーンができてしまうからである。
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黒がe6と指すと、ナイトがピンされ、d6のポーンもサポートを失う。これがリヒターラウザーアタックが狙う展開である。
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次に白はQd2と指し、ビショップをサポートしながら、クイーンサイドキャスリングを狙う一手が最も合理的である。黒Be7と合駒する手に対して、互いにキャスリングを行い、白f4と続いた盤面が<第1図>となる。
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白は見事に、オープンシシリアンで黒の弱点となりやすいdファイルのポーンを狙える展開に持ち込んだ。黒Nxd4、白Qxd4とナイトを交換すると、d6に圧力がかかる。順当に黒h6、白Bxf6、黒Bxf6とピースを交換していくと、Qxd6で黒の弱点となっていたポーンがテイクされる。
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もう一度、クラシカルバリエーションの初期配置に戻ってみよう。もう一つの考えられる白の応手として、6手目白Bc4と指すソージンアタックがある。
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ソージンアタックを選択した場合でも、やはり黒はe6と指さざるを得ず、d6のポーンが弱点として残る形となる。
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こちらの変化においても、白はfファイルのポーンを突いていき、攻撃をしかけていく。
ソージンアタックを仕掛けられた際の黒の応手として、e6以外にも面白い手としては、Qb6が考えられる。こちらは、d4のナイトにさらに攻撃を加えることで、中央の支配を取り返そうとする手である。
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今回の記事では、オープンシシリアンとなった場合のクラシカルバリエーションの変化についてみてみた。
次回は、5手目e6と指すシュエヴェニンゲンバリエーションをみていく。もうしばらく「シシリアン・ディフェンス」の定跡が続くことになるが、お付き合い願いたい。
―B.―