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夜汽車 と 北海道
今から40年ほど前には、
夜汽車が沢山走っていた。
夜汽車…響きが旅愁誘う。
夜汽車の定義は、厳密には蒸気機関だが、
ここでは夜行列車をそう呼ばさせて頂く。
数列挙げると、
上野駅から北に向かう夜汽車。
急行 八甲田、十和田、津軽。
函館〜札幌間の夜行鈍行列車。
札幌〜網走間の急行大雪。
札幌〜釧路間の急行まりも。
寝台特急ブルートレインも西へ向かって。
東京発大垣行きの夜行鈍行も普通列車だった。
他にも数えきれないほど。
私の旅のある時期は、
北海道ワイド周遊券と
弘済会道内時刻表と
夜汽車 が支えてくれていた。
その頃のお話しに、少しだけお付き合い願う。
【上野発、東北本線 急行 八甲田①】
上野駅13番ホーム。 列車札の下、
膝抱えて夜汽車を待つ、昼から夜の数時間。
心だけは既に北へ翔んでいた。
相当回数乗った。
私の、夢の国行き揺り籠だった。
上野駅 夜発、青森駅 早朝着。
青函連絡船乗継ぎの青森駅ダッシュも。
慣れてくると青森を楽しむ余裕も出て。
ダッシュせず、青森市内を楽しんだり。
閑散期の急行八甲田なら、
ボックス席1人で占有し、
色々な形で横になって青森まで行けた。秘技 座席敷き、奥義 空き缶傾斜座席、究極破 網棚寝 …今じゃどれも禁じ手🈲
年末等の繁忙期はそりゃあ大変。
旅行者もごった返しているが、
忘年会あがりの酩酊したお父さんもご帰宅。
既に4人座っているボックスに、
無理矢理座込み、高鼾(たかいびき)。
やおら、むくっと起きたら…げぇえぇえー。
まじか! 満員の車内に酸っぱい匂い。
途中、整備停車(長めに)。再び北を目指す。
この時は、nightmare…。
【上野発、東北本線 急行 八甲田②】
四十余年前は、何周り目かの旅行ブーム。
古くはディスカバージャパン(1970)や、
一枚の切符から(1977)、いい日旅立ち(1978)
等のキャンペーンもあって、
ザック背負って鉄道旅の方も多かった。
独り、ホームで急行 八甲田を待つ私。
少し離れたところに、
北海道ワイド周遊券を手に、
急行 八甲田を待つ旅人。
それを、
ギター等手に、盛大に見送る旅仲間達。
見送る側も、多分、数日〜数週間後には旅人。
よく見ると、幾人かは知った顔…なんて事も。
上野駅は、
出発前から、東京に居ながら、北国だった。
【弘済会道内時刻表で函館本線に乗って】
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少し黄ばんでいるのは御容赦願いたい
函館〜札幌の函館本線山線(倶知安、小樽経由)
営業距離数は286.3kmと書いてある。
函館駅 4番線 23:51発 列車番号41
旧式客車
(仕様は、
扉は手動で、走行中も開閉出来た。😱
最後尾は蛇腹連結幕が畳まれ、鎖一本だけ。
🛤️線路が丸見えで過ぎてゆく、
なんとも旅心くすぐる車両だった。)
この列車に乗る客は多くなく、
•お金を切り詰めていて…
•どうしても明日朝札幌に間に…
•私の様な変わり者の旅人
•その他
人間模様のプロファイリング。
ある時の函館本線、
最後尾のデッキに寄り掛かり、
プランと垂れ下がった鎖の向こうに
通り過ぎた線路をぼんやり眺めて過ごした。
長万部 02:17着
倶知安 04:37着
小樽 06:08着
札幌 06:51着
D機関車が、
客車(動力を持たないただの箱)を引く。
発車の度に、ガッシャン、ガッシャンと、
連結器の音が鳴り響く。
普通の電車には無い、旅愁誘う音色。
一夜の宿代を浮かせる為の夜汽車でもあった。
時には、
往復し、連泊宿代浮かせる事も…。
※時刻表の数字羅列も著作権が認められている
本来なら、そのページを載せたいが、御容赦
※ 2027年北海道新幹線の札幌延伸にあわせて、
函館本線(山線)は廃線となるらしい。
既に夜行鈍行は無く、
とうとう鉄路まで消えてしまう。
【急行 大雪ごっこ】
上記函館本線による宿代節約より
もっとメジャーだったのが 急行 大雪ごっこ
特に、流氷の時期、流氷を観たい!
でも、流氷は風任せ…。
宿代払って待っても明日着岸してる?不確実?
という事で、急行 大雪ごっこが始まる。
網走駅 21:14発 列車番号516
急行 大雪6号(網走→札幌)
↓
00:03遠軽
02:05上川
深夜、ムクっと起き上がり、やみくもに下車
向かいのホームには、
02:12着
02:18発の急行 大雪5号(札幌→網走)がある
こいつに乗ると
07:20網走着 一泊分の宿代を浮かせて、
昨晩と同じ網走駅に存在出来、
流氷の情報仕入れ、即移動可能。
上川駅ホームですれ違う、
⊂網走の人と、
⊂札幌の人。 滑稽だが、カタコトの挨拶。
※時刻表の数字羅列も著作権が認められている
本来なら、このページを載せたいが、御容赦
北海道ワイド周遊券=宿にも転用出来た。
この◯◯ごっこは、根室、宗谷各本線等でも。
【銀河鉄道】
随分前に閉じてしまった小樽の宿 遊飛館。
夕飯後の楽しみの一つが、
遠く山肌を横切る函館本線の夜汽車。
真っ暗な山側に、夜汽車の灯。
まるで空中を走る銀河鉄道の様。
今はもう、
宿も無く、夜汽車も無く、もう直ぐ鉄路も。
※下欄 【過去note】参照
【夏ならばステーションホテル】
当時の旅人直訳英語で、
ステーションホテル =駅に泊まる
だった。
他にも、
グランドホテル =野宿
パークホテル =公園に泊まる 等。
因みに、
夜汽車泊はトレインホテルとは言わず、
◯◯ごっこだった。
私は既に働き始めていて、
それでも北海道をウロウロしていた時期。
夏の旭川駅に夜着。
何故夜汽車を降りたのか定かではない。
流石にごっこ遊びは…とでも思ったか。
で、ステーションホテル。
邪魔にならぬ様な寝場所決めて…、おや?
結構人居るなぁ。まだ早いし宴会でもするか。
何人かに声掛けて、
三千円出すから安酒とつまみ買ってだべらん?
未成年はお茶ね。 10人強。
合同焼酎2ℓペットなら賄える!
皆、コップは持ってたし、
アテも色々供出された。
北海道何回目?
回数じゃないよ、一回で数年の人もいるし。
どこがいい?
人により見方が違うのが面白い。
何でこんな事してくれる?
それは、私自身が昔、奢られる側だったから
旭川駅前で即興の宴。
【厳冬期の夜汽車】
ボックスシート。一番好きな位置は、
進行方向側の窓際。
過ぎ行く景色をぼんやり眺めるのが好い。
厳冬期の夜汽車で、
窓に頬つけて、景色眺めて眠りにつく💤
起きようとすると髪が車窓に凍りついて。
うっ。 あれ? よっ。 ぺりぺりペリ。
【結び】
私の一つ前の世代は、SLの末期を経験し、
もう一つ前の世代は、SLの最盛期を謳歌。
私の幾つか後の世代は、ビックスニーカー号等
世代毎に旅の仕方は移ろって行くけど、
他の世代に触れる事は少ない。
この世代の、ほんの端っこを
noteに書き記してみた。
【参考】
北海道ワイド周遊券を取り上げている記事も
1981年石勝線開通
多分、北海道の鉄路が伸びた最後の瞬間。
この後、廃線が立て続けに…。
↑ 非常に感慨深い 1980年の北海道路線図
現代の路線図も載っているので、
如何に鉄路が消えたか…感じてみて😢
今は、今に合った旅がある様に、
あの頃は、あの頃の旅が転がってた。
【過去note】