
【映画感想】食べて、祈って、恋をして
8年の結婚生活は彼女が終わりにする。会社員の夫は大学入学を目指し始め、自分が作り上げた家はどこか他人の家のようだという冒頭から始まります。夫から逃げるように新しい俳優の恋人を見つけますが、彼はどこが疲れたのでしょう。友達との会食をきっかけにリズと距離を置くようになります。ここまで見ていても彼女の性格の難点は分からないのですが、彼女は、失恋の傷を癒すだけでなく、いつも彼氏に頼る自分を変えたいと、1年間の旅に出ます。別にリズは夫にも彼氏にも捨てられたようには見えない。彼女は捨てられたと思ってるのかもしれないけど。それは、離婚調停で全財産を譲るように条件を繰り出す夫に「憎まれているのよ」と友人に相談するところ、彼氏が寝るベッドのわきで泣く彼女などに見て取れます。彼女は関係の終わりを自ら感じ取っていたのでしょう。
イタリアではアウグストゥスの霊廟を見に行き、朽ち果てた姿の皇帝の墓を、「変化を恐れることなく受け入れた姿」ととらえます。イタリアでは出会った友人や家族に囲まれ、恋人の姿をまざまざと見せつけられます。ここにいては夫や恋人を求める生活からは抜けられない、と彼女はイタリアを後にし、インドへ向かいます。
インドでは逆に結婚を嫌がる若い女性と出会い、結婚とはなんだろうと考えるきっかけになるようです。リズは理想の結婚を手に入れたと思ったのに、結局離婚。インドの彼女の結婚式と自身の結婚式を重ね合わせる。彼女は別に執着などしていないように見えますが、インドでの瞑想では「夫や生活からの執着を捨てるように」「自然に任せる」「もがくな」という言葉を体現していきます。
リズは旅を通して心の調和を得ていきます。バリ島では1年前に尋ねた薬療師を訪ね、瞑想を続けます。彼女は旅先でいろいろな人と交流しますが、ここで出会った彼とどうして生活を共にしようと思うのか、最後の決め手はちょっとよくわかりませんでした。自律した状態でした恋はうまく行くってことなのかなあ。