幽霊は怖くない
幽霊は怖くない。と言うと、強がっちゃってみたいに揶揄られることもあるものの、比較で考えたら怖くないのではと思う。
実際、よくわからない幽霊ですらない何かであったり、とんでもないサイコパス、私たちが生きる現実の方がよっぽど恐ろしいのではと思っている。
例えば、よくわからない幽霊ですらない何か。
これは、所謂妖怪であったり、宇宙人であったり、はたまた我々人間の思念やらなんかでできちゃった謎の何か、とかである。
当然我々の一般常識が伝わることはなく、コミュニケーションを取ることすら困難であると思うと、かなりゾッとすると思うのは私だけなのだろうか。
幽霊と言うのは、一般的には人間が死後なんらかの理由でこの世に留まる状態だと思うが、人間であった以上、当然会話ができるやつだと思いたい。
「こんにちは」と言ったら、「こんにちは」と返してくると期待している。
ただ一方で、そのよくわからない何か 達は、人間ですらなかったわけで、「こんにちは」と言ったところで「いただきます」やら「またあした」と言ったような、ただ真似ただけの通じない会話なんじゃないかと想像する。
そんなところが心底気持ち悪い。会ったことないけれども。
当然とんでもないサイコパスや、日々生きていかねばならない現実の厳しさも、相当恐ろしい。
これは改めて言わなくても誰でもそう思っていると思う。
今回澤村伊智のぜんしゅの跫を読み、この人は本当にそういった意味での「怖さ」を書くのが上手だなぁと感じた。
比嘉姉妹シリーズを初めて読んだのは、もう10年近く前なんじゃないかと思うので、第5弾であるぜんしゅの跫を今読み、昔の記憶を蘇らせながら楽しむことができた。
今回は兄弟姉妹に関連した話が多いかなと感じたが、個人的にお気に入りは鬼のうみたりければ。
いろいろな種類の怖さを組み合わせて、さらに怖くしてくるようなそんなお話。
過去の人間関係も出てきて、過去シリーズを改めて読み返したいとも思うし、続きのすみせごの贄も読んでみたいと思う。
以上、ぜんしゅの跫を読んだというはなし。