デジタルライターというしごと 2
この記事は、自己紹介というよりも、忘備録といった方がいいかもしれない。自分にとって、このしごとが何なのか、それを整理するための資料みたいなものだ。
ぼくは、32歳でデジタルライターという仕事にたどり着いた。この仕事につきたいと思ったこともなかったし、そもそもこんな仕事があることも知らなかった。ただ、ぼくは、文章を書く仕事がしたかった。
ライターになる前は、IT系の営業をしていた。ガッつり体育会系の営業職。金券が目の前にぶら下げられ、仕事にすべての能力を注ぐことが求められた。ぼくは、今でいうところのコミュ障だ。電話をするだけでも、深い決心が必要だ。相手の名前を言うだけで声が震える。世間話ができず、話を始めるとあらかじめ用意していた内容がぶっとんでしまう。空気も読めない。客先に行くことが怖くて、相当な時間、まんが喫茶で知らない人とチャットして過ごした。
それに、スーツが大っ嫌いだった。しわを気にしなきゃいけない、ポケットに物を入れすぎてはいけない、名刺はすぐに取り出せるように、ネクタイはまっすぐ…。着ているだけでルールやマナーに縛り付けられているような気がした。
つまり、営業という仕事が大嫌いだったのだ。まったく自分に合っていない。実は、そんなこと始める前からわかっていた。でも、ぼくは、社会で生きていくためには、一人前になるためには、社会人マナーを身に付けなければいけないと思ったのだ。苦手なモノでも、慣れるかもしれないと。5年間頑張ってみた。その会社で社内結婚もした。それくらい、無理をした。
新婚なのに、仕事を辞めた。リストラで子会社への移籍を命じられ、それを断った。そこにいったら、たぶん、自分が自分ではなくなってしまうと感じたから。何者にもなれない自分がみじめだった。だから、せめて自分が生きやすい仕事をしたいと考えた。自分の原点は何か。何がしたいか。どっちに向いていると笑っていられるか。甘いのはよくわかっている。結婚生活を維持することが”生きる”ことじゃない。ぼくはぼくらしく、自分の人生を生きている実感が欲しいのだ。
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