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大切にしたい、古き良き洋食、喫茶。

ひとり外食は楽しい

昔から、ひとりで外食をすることが好きだ。

もともと、生まれ育った都内の実家に居た頃はもちろん家族と外食することも、友人達、恋人と外食することも楽しかったし、結婚してからも、夫と一緒に外食する時間はとても楽しい。

だが、用事や仕事の目的で赴いた街で、お気に入りのお店や、なんとなく気になり入ったお店で、ひとりで黙々と美味しい食事、お茶やデザートをいただく時間は、私にとって貴重なひとときである。

しかし、そんな私の楽しみは、この一年ほぼ出来ていない。

コロナの影響で、昨年二月からリモート、外出も最低限の買い物と通院のみで、県内、しかも市内と隣市の行き来しかしていないからだ。


これ以上、失くしたくない飲食店は沢山ある

昨年3月の緊急事態宣言に次いで、今年もまた宣言から首都圏を中心とした限定地域に緊急事態宣言が発令された。

今回の発令は、飲食店の営業時間を短縮させたものであり、昨年のものとは異なるものの、
やはり飲食業界への打撃は否めない。

この一年で、数えきれない悲しい知らせを何度も知った。
相次ぐ飲食店の閉店である。
先日も学生の頃から頻繁にお世話になっていた、都内の老舗のお店が閉店を余儀なくされた。

都内だけではない。
千葉県の今の住まいに越してきて10年ほどになるが
市内でも、昔からある、市民や他地域からの人々に愛されたお店がいくつも閉店した。

若い頃に、両親と妹を亡くし、実家も失くなった私にとって
幼い頃から両親に連れられて行った馴染みお店や
学生の頃からの大好きなお店、
そして、ここに越してきてから、とても親しくさせていただいたお店の方々が、どんな思いでお店を閉めたかと思うととても辛い。
そして、私自身も、どんどん思い出の場所が失くなることで
私自身の思い出までも消えてしまうような、そんな感覚にもなってしまう。

楽しかった、美味しかった思い出ばかりなのだ。


懐かしくなるのは洋食と喫茶店の思い出

私自身、ひとりで行くときに好むのは、レトロを感じるお店や老舗のお店だ。

昔から、年齢関係なく女性の友人と会う場合、どうしても彼女達が好むお店に合わせるという意味では私はかなり無理をしているかもしれない。
彼女達が求めるのは、流行、話題性であったり、高級感、或いはコスパ。そして何よりも今の時代は映える写真が撮れる食事や飲み物、外観だ。

だからこそ、私はひとりの時、夫と行く場合は本当に私自身、心から行って良かった、
本当に美味しかった、美味しい食事、飲み物を楽しめる場所にしか行かない。
たとえ滞在時間は短いとしても、注文してから提供されて、食べ終える/飲み終えるまでのひとときを心から楽しみたいからだ。

このお店には残っていてほしい、
そう思うお店はあまたある。

今回は特に、都内の3つのお店を紹介したい。
どのお店にも残してほしい理由があり、多くの人から愛される理由がある。



むさしや



ニュー新橋ビル1Fのむさしやさん。

常に行列が出来ていて、まさに「並んででも食べたい」お店。


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メニューを見ると、既に美味しそうな雰囲気がある。

ちなみにオムライスはこちら。
スープと、昔ながらのオムライス、そしてスパゲッティ、キャベツがどーん!と盛られてくる。
このオムライス、食欲をそそるバターの香ばしい香りがたまらない。


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ちなみにこちらは、オムドライ。
オムライスの中は というと...


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ドライカレー!
これがまた本当に美味しい。

そうそう、この時はオムドライに、250円のハンバーグをつけた。
このハンバーグ、かなり美味しい!のでオススメ。


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通常なら行列のむさしやさんも、やはり現在は空いており、さほど並ばずに席に着けるとのこと。
(カウンター数席しかありません)

ちなみに、コロナ前からも、いつもテイクアウトのお客様も多かったので
テイクアウトもオススメ。


カフェテラス ポンヌフ


ポンヌフさんも新橋。
こちらは新橋駅前ビル1号館。
こちらのポンヌフさんも行列必至のお店だが
回転は比較的早い。


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この日はサラダ単品とハンバーグスパゲッティセットを。


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見るだけでもワクワクする銀のお皿に、どーん!と盛られたナポリタンとハンバーグ。
並んでいる時に炒めている様子も見えるのだが
運ばれてくる時に改めていい香りに食欲をそそられる。

新橋で働く皆さんを中心に半世紀以上愛されてきたお店。


ヘッケルン



虎ノ門の老舗喫茶店ヘッケルンさん。


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この日は、コーヒー(&プリン)セット 700円。
マスターお手製のプリン、そしてゆっくりと淹れられるコーヒーがとても美味しい。


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そう、コーヒープリンセット、じゃなくて
正しくはコーヒージャンボプリンセット。

「プリン、なんでこんな風に大きくしてくれたんですか?」と以前マスターに聞くと
マスターは笑顔でこう答えた。
「だってさ、お客さんに喜んでほしいもんねぇ。...あ、でも、作るの大変だから限定数だけどね。」

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吉永小百合さんも訪れていらっしゃるお店だとか。

こじんまりとしたお店で、席数も決して多くはないので、長居はおすすめできない。

でもこのお店、本当にお客様含め雰囲気がとても良いのだ。
まるで、このお店のファミリーになったような、そんな感覚にもなる不思議なお店。

「カラメルもプリンも一生懸命作ってるから、毎日しんどいけれど、まだまだ頑張るよ。」

最後に訪れた時にマスターは別れ際にこう言っていた。

まさかその少し後にコロナで世の中が変わるとは、その時は想像もしていなかった。

老舗洋食と老舗喫茶店。

物心ついた頃からチェーンのファミリーレストランがあった若い世代の人たちにはあまりピンと来ないかもしれない。

40代後半の私の場合、
小さい時に、両親と出掛けたり、デパートに行った時などに楽しみにしていたのは、デパートの食堂だったり、洋食屋さんや、喫茶店だった。

運ばれてきたお子様ランチについているプリンやおまけが嬉しかったり。
両親が切り分けてくれた海老フライやハンバーグ、オムライス、そして喫茶店で食べたプリンやパフェ、飲んだクリームソーダなど、
今でもやはり懐かしく、そして、両親が食べていた洋食のメニューには未だに親しみを感じる。

クリームソーダも、時には無性に飲みたくなる。

コーヒーを飲むと、大人になったな、と改めて感じる。

勿論 オムライスも海老フライも、ハンバーグもナポリタンも、そしてコーヒーだって家でも楽しめる。
そうでなくても、チェーンのお店でも今では値段以上の質の良いものを飲んだり食べたりできる。

勿論チェーン店を否定はしない。

けれど、長きに渡って続いてきたお店には沢山、そのお店を愛する人たちが存在する。

それぞれの人たちに楽しい思い出がある。

その思い出の場所が、これからもあちこちで失われていくかもしれない。

この記事で挙げたお店以外にも沢山、好きなお店もお気に入りのお店もある。

長い歴史のあるお店の場合、後継者の面の問題も勿論あるかとは思う。

それでも、やはり、レトロや老舗を愛する一人として
全国のそんなお店が、少しでも長く続くよう願ってならない。

なぜなら、どんな時にも、そのお店にいくことで
美味しくて楽しいひとときを味わえるファンが必ず存在するのだから。

最後に

昨年の緊急事態宣言下に、定期的に通院しているかかりつけ医の一つを、都内から隣市に転院した。

あまり馴染みのなかった最寄り駅。
駅前には、ファストフードや居酒屋のチェーン店ばかりなのだが、
病院までの道のりで、気になっていたお店があった。
古くからあるような、素朴な喫茶店。

調べてみても全く情報も口コミもなかったのだが
転院して初めての診察の日、勇気を出して入ってみた。
私の大好きなカフェオレがとても美味しくて
それだけでも嬉しかった。

古くからのお店の雰囲気だけあって、客層も高齢者の方々がほとんどだ。

けれど、それが私にとっては心地よかった。

時折、診察の前にランチをとるようになってとても驚いた。
意外、と言ってはとても失礼なのだが
どのメニューもとても美味しいのだ。

まさか、そこまで話題にもなっていないお店でこんなに美味しい時間を過ごせるなんて。
なんて幸せなんだろう。

ちなみに、今週の診察の前には、お気に入りのボルシチセットをいただいた。

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パンもホカホカに温めて提供してくれる。
そしてセットには、この他にもデザートがついてくる。

一席ずつ空けて、高齢の方々が美味しそうに飲み物や食べ物を笑顔で口にする。

私もきっと、無意識に微笑みながら、黙々と食べたり飲んだりしているかもしれない。

ほとんど馴染みのなかった駅の喫茶店。
また私が、美味しい、楽しいひとときを過ごせるお気に入りの素敵な場所ができた。



#おいしいはたのしい

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