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【第一章】メメント モリ(全26話)

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四年前、「死者の残影にアクセスする」という特別な力に目覚めた神崎直人は、その特殊能力を生かして親代でもある渡辺叡治の探偵事務所で働いている。そんな直人に与えられた今回の仕事は、青…
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【小説】メメント モリ 第1話 プロローク 空虚

 一枚の名刺を握った手が若干揺らいだが、平然とした表情を繕うと、神崎直人は目の前に立ち塞…

星乃夜衣
5か月前
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【小説】メメント モリ 第2話 新たな依頼

∴ 第1話を読む    十月に入り、気づけば街の景色は秋の装いへと変わりつつある。  秋の…

星乃夜衣
5か月前
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【小説】メメント モリ 第3話 蝶の戯れ

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  都立国際大学の正門付近は、午後の授業を受ける学生たちの出入…

星乃夜衣
5か月前
22

【小説】メメント モリ 第4話 作戦会議

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む 「男にナンパされたのか?」  渡辺は声を立てずに笑うと、直人…

星乃夜衣
5か月前
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【小説】メメント モリ 第5話 黒い服を着た男

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む 「寒い……」  青山涼は肌に纏わりつくような冷気と息苦しさで…

星乃夜衣
5か月前
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【小説】メメント モリ 第6話 接触

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  高級ホテルの三十九階にあるバーのプライベートルームに足を踏…

星乃夜衣
5か月前
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【小説】メメント モリ 第7話 隠れ家

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  東京駅から中央線に乗り込むと飯田橋駅で下車し、神楽坂へと向かった。平日も夜中の十一時を過ぎていれば、すでに閉店している場所も多い。直人は緊張気味に人通りの少ない細い道を通り抜けながら〝指定場所〟へと歩いた。  低い建物が並ぶ通りの角に、その〝指定場所〟はある。通りに面したアンティーク調の重い扉を躊躇なく開くと、そこは窓のない隠れ家のようなバーであった。 「いらっしゃい」  女の切れ長の眼がカウンター越しに直人の姿を捉えた。直人は店内に眼を配っ

【小説】メメント モリ 第8話 白い光

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  エリック・ホフマンは東京湾に面した臨海公園の駐車場に車を停…

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第9話 変死体

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  日が昇り始め、秋の陽の光が東京湾をキラキラと輝かせる。  …

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第10話 作戦会議 II 

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  平岡茂には、家系的に受け継がれてきた独自のネットワークがあ…

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第11話 記憶のない死体

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  直人は監察医務院の受付で、荒木警視が現れるのを待った。  …

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第12話 密談

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  警視庁捜査一課長の荒木が渡辺に接触を求めてきた。場所はレイ…

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第13話 それぞれの思惑

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む  土曜日の夜の大学周辺は学生たちでひときわ賑わう。通りからは…

星乃夜衣
4か月前
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【小説】メメント モリ 第14話 罪の意識

∴ 前の話 ∴ 第1話を読む   腕に巻かれた時計を見ると、すでに十時を回っている。綾子は大通りに面したコーヒーショップに素早く入ると、平岡と二人の学生も後を追うように続いた。 「外は冷えるな」  平岡が呟きながら営業時間を確認すると、閉店までまだ一時間ほどある。周囲を見渡すと、騒がしいバーとは対照的に、落ち着いた雰囲気の店内に客は数人しかいない。 「バーの方がよかったかな?」  平岡は学生たちにさり気なく聞いてみたが、コーヒーショップの方が落ち着いて話せると返ってきた。四