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佐藤君のけだるげな冒険 試し読み③
もうすぐ関西コミティア71。
星沢てらす改め、柚木トモカ商店も出店が決まりました! スペースNo.B-54です!
ということで今回も、ティアズマガジンかんさい70でも紹介された、柚木トモカ作「佐藤君のけだるげな冒険」の冒頭を掲載!
今日は3回目です!
前回↓
https://note.com/hoshizora_708/n/n32c6ff5a1712
③
桂悟と別れ、帰宅。ドアを開けるとまず目の前にカレンダーが飛び込んでくる。ともすれば今日の日付すらも無頓着になりがちな命を心配し桂悟が買ってきたものだ。命からすれば繰り返しの毎日、日付など必要なときだけ見ればいいもので、そうそう毎日気にしなくてはいけないものではない。あの幼馴染はどうにもお節介が多い。
後日もっと厄介なお節介焼きが彼の元に来るのだが知る由も無く、賞金の入った封筒を無造作にテーブルの上に放り投げる。とりあえず何か食べようと台所へ行き、冷蔵庫を開ける。
水一本。
それ以外は何もない。500mlのペットボトル以外見事に何もなかった。ドアポケットも見てみるが、卵の一つすらない。
内心で舌打ち。さっき何か買っておくべきだった。時刻は夕方5時、今すぐにでも買ってくることは出来るが、残念ながら本日の外に出る気力は使い果たし。ていうか面倒だし。
「………………」
よし。
絶食することにした。《姿の見えない》同居人は少々騒ぐだろうが、無視しておけば問題ない。
ベットに寝転がり、目を閉じる。体力温存のために、朝まで無の世界へ……。
コンコン。
ノックの音。誰だろうか。しばらく耳を澄ましてみるが誰の声もしない。いたずらだろうか。
まぁとりあえず聞かなかったことにする。今は睡眠タイムだ。他のことは放っておけ。
ドンドン。
気のせいだ。
バンバン。
気のせい、気のせい。
『うぉぉい佐藤命ぃぃぃ! 居るんだろォ?! 居るんならとっとと出てきやがれェェェ!』