スズメバチと終戦記念日〜 もしもスズメバチが玄関に巣をつくったら話し合いで解決できるだろうか〜
もしも、わたしやあなたの家の玄関先の軒先に
スズメバチが 巣をつくりはじめたとして
手を くだすことなく どこまで話し合いで解決できるだろう?
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スズメバチと終戦記念日
〜それぞれに それぞれの立場で
いのちを生きている〜
出来ることなら 戦争はしたくない。それは おそらく大多数の人たちの共通する願いであり(武器商人や ごく一部の好戦的な人を のぞき)わたしたちの ご祖先様も そう願ってきたことでしょう。いつの時代の戦争も それぞれの側が それぞれの正義を語り 戦うべき大義名分を掲げ、そして多くの庶民が時代の流れに翻弄されてきたことでしょう。
先の日本という国体の参戦した、太平洋戦争も アジア諸国を西洋諸国の奴隷的植民地支配から 解放する戦いだったとの見方もあり、実際に台湾やインドネシアやパラオなどでは日本が西洋諸国などの植民地支配から 彼らを解放したとして感謝されているとの声も伝え聞きます。また一方では太平洋戦争は侵略戦争であり、一部の卑劣傲慢な軍部や軍人により、虐げられ苦しめられたアジアの方や、おなじ日本人の方の戦争体験を伝え聞くこともあります。それぞれ無数の戦争体験が存在するのかもしれません。
話は変わりますが、わがやの玄関の真正面にスズメバチが巣をつくりました。以前、長野に暮らしていたときも 玄関にハチが巣を作ったことがあったのですが、そのときはアシナガバチでした。そのとき 何事もなく平和に共生が出来ていた経験から、こちらから恐れたり敵意を持たない限り 特に問題ないという実感があったので、刺されると致死性もあると聞くスズメバチが巣をつくりはじめても 同じように恐れや 敵意が わいてこなかったため、そのまま共生しても 大丈夫なのではないかという氣がしていました。
それでも生き物の生態に詳しいTさんや、ほか何人からか スズメバチの危険性について度々 話を聞く機会があり、先々になってから大きくなった巣を撤去することになっても忍びないので、スズメバチが巣をつくりはじめて まもない頃、場所を変えて違う場所に つくってくれないかと何度か彼らにお願い試みたことがありました。
これまでの経験から、虫や動物たちは心から話しかけると大抵、話を聞いてくれる存在だと認識していたのですが、残念ながらスズメバチには話を聞き入れてもらえませんでした。
そうこうしているうちに巣は大きくなっていき、同時に彼らに対しての親しみも増してきたので、なんとか共存も出来るかもしれないという可能性の選択肢を なかなか捨てることが出来ませんでした。
しかしながら、スズメバチは巣づくりをしているときは比較的、おとなしくても 8月、9月になり繁殖期になると 攻撃性を増してくるとの話も聞いていたので、いよいよ決断が迫られてきていました。
そんな最中、つい先日 客人があり庭先でバーベキューをする機会があり、その際、東京からやって来たDくんはスズメバチの至近距離での偵察飛行を受け、一緒にいた もう1人のOさんも しきりに怖い怖いと口にしていました。
自分や、ともに暮らしている友人ヒデさんが スズメバに刺される分には 自己責任で 問題ないかもしれないけれど、訪ねてきてくれた人たちが万が一刺されてしまう可能性を考えると、ここまで巣づくりをしてきたスズメバチには申し訳ないけれどヒデさんと話し合い、やはり巣を 取り除かせてもらうことに決めました。
ハチの生態に詳しいTさんから教わって、日が沈んで暗くなってから 巣の下で 火を焚き煙を起こし、スズメバチが嫌がって気絶している間を見計らって、十分に着こむなど備えをした上で 慎重にヒデさんと2人協力しながらスズメバチの巣を長い棒で突き地面に落としました。
しかし翌朝になると再び、気絶していたスズメバチたちは正気を取り戻し 巣があった元の場所に また止まっている。いくらか、わずかではあるが 巣のあとが残っていたのだ。
そのため夜、もう一度 火を炊いて 煙で いぶし、残っていた巣の跡を今度は出来る限りキレイに取り除きました。夜空には 満月が美しく輝いていました。
それでもまだ 数匹のスズメバチが巣のあった場所の辺りを 今でも飛び回っている。これから巣づくりをしても おそらく、もう間に合わないだろう。彼らには 申し訳ないことをしてしまった。どうせ撤去するのなら、巣が まだ小さいうちにしてあげれたら親切だったのだ。
今回のことは、深く考えさせられる機会となった。何を優先して守っていくべきなのか。自らが大丈夫だとおもえても、より多く人の安全を考えると、ときに たとえ敵意がなくても 何かを守るために 自ら手をくださないといけないこともありえるのだという事実を知った。排除すべき対象や 境界線が人それぞれ異なるから 尚更やっかいなのだ。それらは戦争の掲げる正義や大義名分と一体全体、何が どう違うと云えるのだろうか。
不確実な脅威に対する警告があったとして 出来ることなら 武器を手にすることなく 平和を理想として忍耐強い対話を通して スズメバチとも共生を試みてみたかった。ただし、それには隣人をふくんだ死のリスクが隣り合わせなのだ。
幸いだったことは 自分にも ともに暮らすヒデさんにも、おそらくスズメバチの側にも 互いに 敵意と憎しみが存在しなかったことだろうか。それぞれに、それぞれの立場で いのちを生きているのだ。
わたしたちが 今こうして 生きているのは、先人たちが 幾多の生死をわけるギリギリの決断の連続を乗りこえて、いのちを繋いできてくれた結果なのだ。何を選択し 未来に繋げていくことが ご先祖様や 大きな大きな いのちの連なりへの真の貢献になるのだろう。改めて想い馳せる 終戦記念日の満月です。
※2019年8月15日に書かれた文章です。
生きとし生ける すべての生きものたちが
幸せでありますように🍀
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