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愛する我が子への苛立ちを感じる瞬間に



「毎日毎日癇癪起こされたり、ずっと抱っこ抱っこばかりで、外に出るのもしんどいし、かといって家にいたらわがままもすごくて。

…子どものこと、大好きです。

でも、毎日毎日イライラしてばっかりで子どもと一緒にいたくないって思っちゃうことがよくあるんです。こんなこと思う自分がほんとうに嫌なんです。」


「この前とか公園に行ったんですけど、うちの子以外はみんな楽しそうにママと遊んでて。そんな中でうちの子はほんと小さなことで癇癪を起こして泣き叫んでました。」

「今考えたら、怒らなくても良かったなと思うんですけどイライラしてきて「もういい加減にしなさい!!」って怒鳴ってる自分がいて。もう周りからの視線も痛くて無理やり帰ったんですけどね。

怒っちゃいけない、そう思うのにめちゃくちゃ怒ってて。怒ってる最中も辞めたいのに止まらなくて。。

もう、なんかわたしがママでごめんねって最近よく思います。」

彼女は、目に涙を溜め、肩を落としながらも先週起こったことを話してくれた。


彼女は本当に頑張り屋さんである。
子どもが産まれる前は何事も全力投球でやってきて、仕事も家事も完璧にこなしてきた。

頑張ればきちんと結果が返ってくる。それが彼女の信念だった。

それまでありとあらゆることは自分でコントロールできていた。なのに、子どもが産まれた途端うまくいかなくなった。

なんだか育てにくい…そう感じている中、わが子はHSCかもしれないということに気づく。

散らかった部屋、朝から洗われていない食器、前日も夜泣きであまり眠れずぼーっとする頭、泣き叫ぶ子ども。

帰りが遅い夫、実家の両親も遠方に住んでおり頼れるに頼れない。




そんな状況の中で彼女が抱えている孤独はいかばかりのものだろう。

彼女はこんなに怒る自分が情けない、嫌いだと言った。


だけどこの話、彼女に限ったことではない。と思う。


多くのママたちがこのイライラする感情に毎日毎日苦しんでいる。
どうすればここから抜け出せるのかを悩んで。


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相談にこられるママたちの中に、自分の怒りを子どもにぶつけることを良しとしている人はそうそういない。

それは子どもに怒鳴ったり、怒りをぶつけるのは「良くないこと」だとわかっているからだ。

確かにそうだ。

親が怒鳴ったり、イライラするというのは子どもの心に大きな影響を与える。


それで「イライラした時どうしてますか?」と尋ねるのだが、ママたちの対処法は以下の3つのパターンに分かれることが多い。

・イライラをごまかす

子どもが何度も同じイタズラを繰り返している時、イライラがピークに達していても、「大丈夫よ」と笑顔を見せる。内心では大きな怒りを感じていても、深呼吸や6秒我慢するという行動で怒りを落ち着けて子どもに対しては優しさを保とうと努力する。

・イライラを逃す

家事や子育ての連続でストレスが溜まっている時、短時間でも子どもを夫や家族に預けて、一人の時間を持つ。近くのカフェでコーヒーを飲んだり、買い物をすることで気持ちをリセットする。

・イライラに蓋をする

小さなフラストレーションが積もり積もっているが、それを直接的に表現するのではなく、SNS等でのポジティブな投稿や友人との明るい話題で気を紛らわせる。現実のストレスから一時的に目を背けて、精神的なバランスを取ろうとする。


・・・

だけど、うまくいかない。

そのときは我慢できても、ふとした時に爆発する、という方も多い。

その場しのぎでしかなく、またしばらくすると苛立ちが止まらなくなるとも。


「イライラ」という感情は多くの人に忌み嫌われている。だからどうにかしてこの感情を感じないように、この感情が表出しないようにみんな努力する。

だけど。そもそも怒りという感情を完全に排除することはできない。

喜怒哀楽があってこそ人間だから。


それに実はこのイライラの感情は

自分でも気づいていない
「こうあるべきだ」という自分の思い込みや価値観

に気づかせてくれもする。

必ずしも悪者にする必要はないのじゃないかとすら思う。


例えば
本当は自分で着替えられるはずのに

「できない!着替えさせて!」

と子どもが泣き叫ぶとする。

この状況にイライラする、ということは、

誰かに甘えることは許せない」
一人で何でもやらなくちゃ。誰にも頼らずやってこそ大人」

そんな価値観があるのかもしれない。


「ちょっと待ってね」と言っても

「いや!!!」と言って癇癪を起こして泣く

そんな場面でイライラするとしたら

人に迷惑をかけてはいけない」
辛いことがあっても泣いてはいけない」

という価値観があるのかもしれない。

自分の思い込みや価値観は決して邪魔者ではない。
「あなた」をあなたたらしめるために重要だ。

だけど、その価値観や思い込みを絶対離すもんかと握りしめていると、
時に不都合だ。

本当は楽になれる選択肢を選べるはずなのに、ぎゅっと握りしめた手では選びたいものが選べない。


この自分の思い込みや価値観に気づくと、
ふっと自分の握りしめた手をゆるめることができる。

別の価値観を選んでもいいかなと思える。


何が何だか分からないけど怒りが湧いてくるという状態から
抜け出せるので、これだけでも冷静になりやすくなってくる。

子どもが産まれると、本来の自分ではなくなったように
イライラすることが増えたと仰る人が多いのは
実はこの今までぼや~っとしか見えていなかった自分の価値観や思い込み
(また自分の嫌いだと感じている部分など)が

目の前に如実に浮かび上がってくるからだと思う。

子どもたちはそれを私たちに教えてくれる。


「イライラして一緒にいたくない」
そう思うのはなぜなんだろう?
じぶんの心の中に何があるのか探してほしい。


最初は難しいかもしれないし、
イライラを感じることにまた罪悪感を覚えるかもしれない。

だけど、「怒り」というフィルターを通して得るものは確実にあるのだから。

気づいていく。

ゆっくりでも大丈夫。
きっと変われる。

あなたとお子さんの毎日に笑顔を増やす一つのきっかけになれたら
幸いです。

星坂はる

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