いっくんの聴覚情報処理障害考察と漫画家の沖田×華さんの例
いっくんの場合
もうじき3歳になるいっくんですが、話ができないというか、コミュニケーションがうまくとれません。
ASDは、視覚の優位性が強いと同時に聴覚からの情報を処理する障害を持っていることが多いそうで、いっくんもこの聴覚情報処理障害があるのだろうと明確に感じます。
・呼んでも振り返らない
・声掛けに反応が薄い
・言語理解が進まない
・出た言葉が消える(音声記憶が定着しない)
これが最初からずっと違和感で、この子は耳からの情報を脳でうまく処理できていない感じがすごくあるなと思っていました。
今も、わたしたちが言った言葉を理解して行動してくれません。
・ごはんだよ
・おそといくよ
・おふろはいるよ
など、生まれてからこの子に何度話したろう?という数々の単語があるけれど、それも通じず、
・食べる時はごはんそのものを見せる、
・登園の時はリュックを見せて、わたしがひとまず玄関に行く、
・おふろは脱衣所まで連れて行ってしまう、
といった形で、視覚的に理解できる状況を作ってようやく、「あ、ごはんだ♡」などと理解します。
理解して切り替えることはうまくできるので、知的な遅れはあまり感じません。
こんな風に、言葉自体の意味を理解しないのだから、単語が増えるわけがありませんし、言葉でのコミュニケーションが取れるわけがない。
いっくんが話せる言葉などについては先日の記事でまとめています。
聴覚情報処理の主な問題
ASD児の聴覚過敏というのはよく聞かれると思います。聞こえすぎて、いろんな音が苦痛に感じる、というようなものですね。
また、うまく言葉が出力できない人もいます。強力な吃音みたいな感じで、言葉を発することができない、というものです。
今回はこれらのパターンは詳しく書かず、聴覚からの情報を入力する時に起こる問題について書いていきたいと思います。
言語情報の入力問題
①無声子音(c,f,h,k,p,s,t など)が聞き取れない
ある方のブログで、お子さんが母音のみで言葉を話す、なんて書かれていて、なるほどこれだったかな、なんて思いました。
グランディン氏も cat hat pat などが全部同じ単語に聞こえた、などと言っています。
これは不便。いっくんの数少ないけど話せる単語を聞いていると、子音も発音できてはいますが、言葉は全然明瞭じゃないです。
②意味盲目
言葉の意味を理解できない。
周囲の環境音や機械音と同じ、意味のないものと感じている。
という場合があるそうです。
いっくんも、言葉に意味があると感じていないふしはあります。
オウム返しや応答をする気がないので、意味があって、自分も言葉を発することができると便利であるとわかっていない。
どこかでふと、わたしたちが発している音が、意味のある「言葉」なのだと気が付いてくれるといいのですが…今はまだ少し怪しいです。
③言葉が自分に向けられたものと思っていない
少しでも離れると自分に向けられたものと思わなくなるので、遠くからどんなに大声で話しかけてもダメです。
これはいっくんも当てはまると思います。
近づいて、目線を合わせて、落ち着いたトーンで話しかけることが大切です。
マンガ家の沖田×華さんの場合
最近面白くて読んでいたのですが、漫画家で自らASD、ADHD、LD(学習障害)を明言しているの沖田×華さんの「ガキのため息」というマンガは当人の子ども時代の話で、すごい面白いけど、こりゃ大変だ、という感じで参考になります。
ドラマ化した『透明なゆりかご』の作者でもあるのでご存知の方もいるのではないかな?
彼女の体験からも聴覚情報処理の困難さがいろいろと載っているので書いてみます。
〇 複数の音が聞き分けられない
・人が数人集まってがやがやしている教室では先生の話を聞き取ることがムリ。
・3人以上の雑談がムリ。
・BGMが流れていると目の前の人の話が聞き取れない。
・ある程度離れてしまうと雑音に紛れて聞こえなくなるため、近づかないと聞こえない。
という感じで、多量、多数の音は脳がうまく処理できない特性があるようです。
学校の授業などはこの特性があると苦痛でしかないだろうと感じます。
これは大人になっても引きずりそうですね。
〇 音を「見ている」
ASDの人は、音を「見ている」ようです。何かを見ながら聞くことができず、聴覚野で聞きながら、視覚野も同時に活性している、と聞きます。
共感覚を持っていると、音に色を感じる、なんていう話もありますが、マンガ家の沖田さんもこう書いています。
ということで、いっくんの聴覚と言葉の問題はもう少し気長に待つしかないなぁと思います。
なんとかシナプスが繋がるまで‥‥