現役TVディレクターによる『もっと面白くなる!ロケVTRの教科書②構成編』
大学4年の後期からADとして働き始め、そのまま制作会社に就職しました。正社員になった最初の月、家に帰れたのはたったの4日。密着取材の収録ベーカムをVHSに起こし、キャプションを取ったり、インタビューを書き起こしたり。ロケの準備をして時には現場にも同行。深夜になるとオフラインブースにダンボールを敷いて寝ました。
ディレクターとして、初めて7分くらいのコーナーVTRを作らせてもらったのが24歳。ダイエット特番の密着取材でした。
深夜のアイドル番組の担当になり、オンエア1回分、完尺50分、全部作らせてもらったのが25歳。
それでも完全にディレクターになったわけではなく、ゴールデン番組や特番では下っ端のADでした。椅子を3つ並べて寝るのが上手になります。
ディレクターとして海外ロケなども任せてもらえるようになったのが27〜28歳。
最初はプレビューで結構ダメ出しをされましたが、30歳くらいにはディレクターとしての自信も付いてきました。
しかし!
他ジャンルや他局の仕事をしてみると、うまくできない。実力の無さを思い知らされるのです。結局、作り慣れた番組なら自信を持って作れるだけ。30代の間はずっと、自分の井の中の蛙っぷりを痛感させられました。
それから現在に至るまで、日テレを除いて全てのキー局でお仕事をする機会に恵まれました。
その都度、「異なるルール」、「局ごとのカルチャー」、「プロデューサーごとの流儀」に翻弄され、徐々に、どの現場でも通用する汎用性の高いスキルが固まってきました(と思っています)。
そんな私には、ときどき不思議に思う事がありました。
優秀な総合演出や優秀なプロデューサーは、局が違っても、番組のジャンルが違っても、「あなた方は同じ師匠に就いていたのですか?」と思うほど、同じ演出方針を口にしたのです。
これが凄く糧になりました。
自分の武器になりました。
それを書き留めておこうと思います。
早速、各方面からご感想を頂いています。
さて、もうちょっと本題に入る前に触れておきたい事があります。
我々の職業は「TVディレクター」と言いますが、実のところ何をしている人種なのでしょう。短い言葉で表すことができます。
ズバリ、早い話が「紹介屋」であります。
映像を使って何かしらの紹介をする仕事をしています。
いや、私は何も紹介していない!世の中にないオリジナルな作品を創っているんだ!ってテレビマンは殆どいないはずです。
いかに面白く紹介するか。
エンタメ感を出して紹介するか。
視聴者の注目を集められるような仕掛けを作って紹介するか。
あるいは、紹介を感じさせないまでに作品性を打ち出すか。
そんな事を考えて仕事をしていたりします。
テレビ番組の企画の殆どは「紹介物」と「紹介の仕方」の組み合わせでしかありません。
格好つけても、我々テレビマンは所詮「誰かの何か」を紹介してるだけなのです。
「番組演出」とは「紹介の仕方」のことを言うのです。
私は20年間、いろいろな人やモノや現象を紹介してきました。
紹介する以上、その対象を理解しなければなりません。深く知っていた方が、番組にも深みが出ます。
知らない分野のことを紹介しなければならない時は、資料を読んだり、話を聞いたりして、勉強します。
そうして学べば学ぶほど、その分野は単純ではないと分かるものです。
人でもモノでも現象でも、紹介したい相手を取り巻く状況は、往々にしてシンプルではありません。「現実」は異様に複雑だったりします。
それをいかに整理するか。
この情報整理の作業をテレビ業界では「構成」と呼ぶのです。
では、まいりましょう。
ロケVTRの教科書、構成編。
いかに構成すると、魅力的に紹介できるのか?
第1章「まず○○を作ること」
第2章「○○・ウケを意識せよ」
第3章「○○を先に持ってこい」
最終章「映像制作に○○○なんてないはず」
本稿、一応課金にいたします。
ですが、後輩や同僚、私とどこかで出会った方々で、読んでみたい方は「PDF希望!」と書いてメアドと一緒にDMをいただけますか。noteにはプレゼント機能があるので、無料でお贈りさせて頂きます。
では、第1章に入ります。
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