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#文学フリマで買った本 【読書メモ①】


『新表現体系コスモ』
いろんな表現者にアンケートを取っていて、創作者ごとの違いが面白かった。
髙田祥聖さんの「Q3 アイデアが思い浮かぶのはどんな時ですか?」「エアハープ、エアわたあめづくり」、「Q4 いま気になっていることは?」「最軽量モバイルバッテリー」とか、すごすぎる。ボケとかでなくたぶんガチ。最後の読み切り漫画「手紙」(松林〽ビーチ)も良かった。


『100年俳句計画 2024年1月号』

第13回百年俳句賞の結果発表。有瀬こうこさんが受賞。おめでとうございます。(文フリ後に打ち上げしました。)受賞作「磁石」は、「鳩の首嫌ひ毛糸のパンツ履く」など不思議な味わいの句が多くて良かった。(昔こうこさんに言ったけど、自分自身の感じ方や感性を元に作るとき、こうこさんの感性や書きたい内容は高い技術力を求めていて、その技術力に追いついてないためにホームランと空振りの振れ幅が大きすぎるのが次に乗り越える課題かなと思ってます。)今後もこうこさんはレベルアップしていくと思うので、このまま突き進んでください!応援してます!

優秀賞作品「春日和」(馬場叶羽)の一句目「青春はロールキャベツだ走りだせ」の疾走感と口語の軽さ、「月の欠落を肌で覚えている」の韻律の崩し方と欠落感と切実さが良かった。口語の操作力、着眼点の鋭さ、五感を手繰り寄せて口語のまま描写に落とし込む力が抜きん出ていて良かった。


『始める!俳句─俳句入門』一般社団法人現代俳句協会

句会・季語の用語解説や、近現代の名句まで、俳句のことがこの一冊で"完全に理解した"状態になる本。

後藤章が作成した「新興俳句運動時代の俳壇の概略図」が凄まじく、近代の伝統俳句〜新興俳句まで幅広くこの図で外観できるのやばい。


『櫂と櫓』(ちゅいんぐわ)

俳人の松本てふこさんと、詩人の住田別雨さんのユニット「ちゅいんぐわ」。
てふこさんの俳句連作「中濃ソース」一句目「バナナシェークづづづ桜が咲いてゐる」良かった。「づづづ」もすごいし目立つけど、地味に「バナナシェーク」の色と質感の斡旋とか、言葉がほぼ3音でできていて「バナナ/シェーク/づづづ/桜が/咲いて/ゐる」、でも韻律は「バナナシェーク/づづづ/桜が咲いてゐる」でモノローグ的な韻律になってるところとか、「桜が咲いてゐる」の冗長ながら一般的な言い回しとか、気合が入っていて良かった。
別雨さんの詩は「ガルダンヌ」が好きだった。名詞の並べ方に意表を突かれた。


『詩誌 透けやすい 4号』
「ちゃく」(田村奏天)文字の大きさや行頭を自在に操る詩の強さを発揮していて良かった。「五句抄──図鑑の通りに」も小さく書いてあって、「そこに 蛍の光だ (臆さず書け)」がめちゃめちゃ良かった。カナメタムラ良い。あと接客も上手。


『父親の死体を棄てにいく談話室』

タママ八月さんのイラストが好き。黒田八束さんの「不器用と普通と」。状況があまりにも自分と似ていてびっくりした。私も服畳めない。諦めていまは全部ハンガーにしてます…。オカワダアキナさんの「らいふはになだめられ」すごかった。文体と韻律の軽さから言葉の牽引力がすごくて、どんどんスルスル読めるのに、内容が日常の濃くて重いところを書いてるから、ズンズンくる。すごい。


俳句マガジン『KENOBI Vol.1』

小川楓子の俳句連作「満月」の攻め方が良かった。「ダッシュ肺にまざりこむ金木犀ダッシュ」「朝晩のサラダに摘果みかん乗っけ」「ポラードの鎖痩せたぞ九月の船長」自在さの加速度がすごい。

黒岩徳将の俳句連作「蒲鉾」の「尾と頭どつちが細いねん矢柄」(矢柄は魚かな)の関西弁が良かった。


『波多野爽波 俳句全集』(暁光堂文庫)

「鳥の巣に鳥が入つてゆくところ」「帚木が帚木を押し傾けて」の句が有名。定価3300円だが、「爽波はずっと上手いのがすごい。これは安いですよ」という店主の言葉に納得し、購入。「姿見は裾まで映すゐのこづち」とか好きなちょいちょいありました。


『ねじまわし』8号、9号。

8号、生駒大祐「そののち」の「神ほとけ拳ひらけばわらび餅」、展開の妙と、「神ほとけ」の扱いの上手さ。9号、「遅刻して正座の神も蜜柑剥く」もそう。「遅刻して」もなかなかすごい。


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星野いのり
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